DeNAオースティン連発 落合流独自調整とは

巨人対DeNA 3回表DeNA無死、2打席連続の本塁打を放つオースティン(撮影・大野祥一)

<オープン戦:巨人1-4DeNA>◇16日◇沖縄セルラー那覇

日米衝撃デビュー弾だ! DeNAの新外国人タイラー・オースティン内野手(28=ブルワーズ)が16日、今季12球団オープン戦1号&2号となる2打席連続本塁打を放った。巨人戦に2番右翼で先発。1回の第1打席でバックスクリーン右に来日初本塁打を突き刺すと、第2打席で左越えに技ありの1発。メジャー初打席でも初本塁打をマークした大砲が、早くも大器の片りんを見せ、3月20日のシーズン開幕戦でも対戦する巨人に勝利した。

188センチ、100キロの新助っ人が、持ち前の「オースティン・パワーズ」で、沖縄の強い風雨を切り裂いた。

まずは1回1死、巨人先発高橋の初球、外角高め直球を、力みのないスイングで完璧に捉えた。「タフなシチュエーションだったけど自分の準備は出来たかな。多くを考えるのではなくボールを強くたたくことを意識した」。バックスクリーン右に飛び込む特大弾で観衆の度肝を抜いた。

続く3回無死の第2打席では、同じく高橋の6球目、内角直球をヒジをたたんで引っ張り上げた。アーチストらしい滞空時間の長い1発に、悠然とダイヤモンドを周回。「単純に体が本能的に反応したね。うまく打球が上がってくれたよ」と納得の表情を見せた。

独自の調整で仕上げてきた。12日のフリー打撃では、打撃投手を務めた今永に対し、22球をすべて見送って“目慣らし”。田代チーフ打撃コーチが「落合さんは実戦でもやっていた」と認める独特の方法で、日本人投手に対する感覚を磨いた。すると初の対外試合となった13日の中日との練習試合で2打数1安打。「いい球を待って、ちゃんとコンタクトすることを心がけたよ」と、目先の結果欲しさに大振りせず、着実に結果を積み上げた。

持っている男だ。10年ドラフトでヤンキース入団。12年にマイナーで好成績を残し、キャッシュマンGMから若手有望株を意味する「プロスペクト」を超える「メガプロスペクト」と称された逸材。16年にはメジャー初打席初本塁打。今やヤンキースの主砲となったジャッジも次打者で初本塁打をマークし、メジャーデビューの2人が、2打席連続初本塁打は、大リーグ史上で初の出来事だった。日本でも“デビュー弾”を放ったことには「偶然の産物だと思うよ」と笑ったが、注目の場面で力を発揮できることを堂々と証明した。

第3打席でも安打を放ち猛打賞としたオースティンは、試合後に報道陣から日本語で感想を求められ「やったぁ!」と笑顔。筒香のレイズ移籍でぽっかりあいた大穴を、きっちりと埋めていく。【鈴木正章】

▼オースティンがオープン戦初打席で初球を本塁打。新外国人のオープン戦初打席本塁打は、19年2月23日ブラッシュ(楽天)以来で、初打席で初球本塁打は10年2月27日マートン(阪神)以来10年ぶり。オースティンは2打席目も本塁打。新外国人がオープン戦初打席から2打席連発は、04年2月28日マーチン(ヤクルト)が横浜戦で記録して以来、16年ぶり。マーチンは2本とも初球だった。ちなみに公式戦のマーチンは71試合で6本塁打に終わり、1年で退団。