高津ヤクルト雰囲気変わる/評論家ぶっちゃけトーク

11日、ヤクルト浦添キャンプを訪れた宮本氏(右)は高津監督と談笑

<深掘り。>

日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(49)×和田一浩氏(47)×ベテラン遊軍小島信行記者のキャンプ批評、第2弾の「沖縄編」を送ります。遠慮、忖度(そんたく)飛んでいけ~! 20年プロ野球のリアルを“取って出し”で。令和になって初めてのキャンプ視察を終え、選手気質をはじめとした今昔物語もあわせてどうぞ!

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小島記者 キャンプ取材、お疲れさまでした。前半にやった宮崎で行われていたキャンプの対談は好評でした。あの調子で沖縄キャンプ編もお願いします!

宮本 それはよかった。ストレートに書きすぎて周りから文句を言われるかな、ってちょっと心配してたけど大丈夫でした。でも、小島さんのコメントの部分がだいぶ書き換えられてた。このオッサンは、あんなに丁寧なしゃべり方はしない。捏造(ねつぞう)です。

和田 僕らのことを「お前」とか「お前ら」とか言ってますもんね。

小島 その書き換えは、読者を不快にさせないためのテクニックということにしておいてください。じゃ、最初はヤクルト。去年までコーチでいたし、どう見えた?

宮本 これはヤクルトだけじゃないけど、1度コーチをやると大変さが分かる。やってないときは、もっと注意すればいいのに…って思うけど、ユニホームを着ていると、やることや言わなきゃいけないことが多くて。いちいち言っていられないことがある。その辺は、自分自身が変わったところかなぁ。

和田 宮本さんらしくないですねぇ。でもヤクルトは厳しいと思いますよ。明らかに戦力が足りない。遠慮せずに言って、厳しくやっていかないと。

小島 おっ、やっぱりベンちゃん(和田氏の愛称)はコーチやってないからビシビシやれる。ヤクルトはケガ人も多いし、うるさく言う人がいなくなって緩んでいるじゃないですか?

宮本 あんまりけしかけないでくださいよ。でも高津監督になって、雰囲気は変わるでしょ。その辺に期待してますよ。ボクの場合、愛情が強いと、つい厳しくなっちゃう。プロはシーズン始まってちゃんと結果を残せばいい。厳しく言うのはシーズンに入ってからにします。野球の評論や解説はボクの仕事だし、そこの部分は遠慮せずにやります。もうヤクルトの話はやめて、ベンちゃんの中日の話をしろよ。

和田 若い投手陣が出てきてるし、楽しみですよ。今年はAクラスは狙えると思う。

宮本 人に言っといて、甘いなぁ(笑い)。去年いた中継ぎのロドリゲスはいないし、キューバ出身のマルティネスだって、オリンピック(五輪)でいないときがある。ルーキーの石川は確かにいいけど、高卒のルーキーがレギュラーでガンガンやれるチームだとしたら、それほどのチーム力がない証拠だろ。

小島 うんうん。2年目の根尾も伸び悩んでいるし、それほど上がり目はないよな。若い選手が起用できるとしたら、去年のヤクルトと同じだよな。村上だって最下位のチームだから三振しても我慢して起用できる。そうだろ?

宮本 だからヤクルトに関して振らないでくださいよ(苦笑い)。

和田 他の球団の話にしましょうよ(笑い)。

小島 弱そうなチームの話だから、しゃべりにくくなるんだよな。それじゃ、DeNA!

和田 新外国人のオースティンはいいと思いますよ。バットの面で押し込んでくるタイプで、ボク好みのバッティングをする。体もでかくて力もありそうで、逆方向へのホームランを打ちますよ。

小島 練習を見に行ったその日に褒めていたよな。その後、巨人との練習試合で2発。あまり選手を褒めないベンちゃんが褒めるだけのことはあると思ったんだよ。

宮本 ボクはそこまで評価してないけどなぁ。フリー打撃だけを見ていたら、体と腕が一緒に回るような打ち方で、変化球への対応力が気になった。でも練習試合では変化球を打っていたし、まだ判断するのは難しいんじゃない。

和田 ピッチャーもいるし、戦力的にはセ・リーグNO・1かもしれない。でもDeNAが優勝するイメージがわかないんだよなぁ。

宮本 ボクらが現役のときは弱かったしなぁ。確かに外から見て、他と比較しても、戦力的に優勝を狙える。でも優勝するかって聞かれると「う~ん」と考えちゃう。自分がやっていたときも、優勝する年ってしんどい戦いをしている。疲れているときに、ひと踏ん張りもふた踏ん張りもしなきゃいけない。

和田 そうそう。痛いのを我慢するとかもある。疲れているときにちゃんと走るとか、基本的なことでもやり続けるのは大変ですよね。

宮本 そういうプレーを怠って負ければダメージはでかい。チームの雰囲気や勢いがなくなる。そうなって、勝てる試合を落としたりする。優勝をするチームって、そういう試合が少ない。DeNAには、その辺の厳しさが感じないんだよなぁ。

小島 ここ5年で1度ぐらいは優勝していてもおかしくない戦力だと思う。でもラミレス監督は8番に投手を置いたり、今年も4番に佐野とか言ってる。頑固なとこがあるかと思えば、変なときに変えたりするもん。

和田 佐野はプロに入ったときからいいバッターだと思っていた。でも今までレギュラーでもなかった打者が、いきなり4番じゃ荷が重い。周りにいい打者がいるから、そこに助けられるかもしれないけど。

宮本 能力どうのじゃなく、主力選手っていうのは敗因を背負えないといけない。佐野を4番にして、そこまで求めるのはちょっとかわいそう。でもチャンスだし、ものにしてほしいけど。

和田 そういう面では広島が強い。キャンプの練習を見ても、緊張感がある。鈴木誠也だって年々、体が大きくなっている。主力がやるから、若手もやる。2年目の小園も大きくなっている。伝統なんでしょうね。

宮本 巨人だって去年、原監督になって5年ぶりに優勝。球団ができてから、優勝しなかった年が4年しか続いてないってすごいよね。勝たなければいけないっていう伝統が根付いているんでしょう。他球団からすると、今年は一息ついて油断してほしいけど。

小島 そろそろ真面目な話は終わりにしましょう。

宮本 突然なんで?

小島 そういうのは対談でやらなくてもいいんだよ。

和田 なんだか意味が分かんないっすよ。

小島 デスクから「昔と今のキャンプの違いを対談しろ」って言われてんの。キャンプの笑い話は?

宮本 土橋さん(現ヤクルト2軍コーチ)のおならが臭かった。

和田 先輩、文句言っといて、すぐに乗っちゃいますね(笑い)。

小島 いいんだベンちゃん…宮本は、ホントはこういう話をしたいんだ。

宮本 昔は相部屋だったでしょ。それで土橋さんが一緒の部屋だったんですよ。でも、人間って成長するんですよ。最初は嫌だったのに、そのうち気にならなくなる。もしかしたら、おならが臭くなくなったのかと思ってたら、おならをした後に部屋に入ってきた人が「くさっ」って。慣れってあるんだなぁって思った。

小島 キャンプで鍛えられ、強くなったわけだ。昔の選手は強かったもんな。

和田 ちょっと違うような気がしますが…。

宮本 でも精神的にはみんなタフだったよなぁ。今はファームでも1人部屋。リラックスはできるけど、先輩とか後輩とかとも、野球の話をしていた。

和田 抜け出して遊びにいく選手も多かったですよね。

宮本 今の選手は真面目だよ。野球のレベルも上がって、そうやって自己管理していかないと、ついていけない。

小島 2人は両方の時代を経験してる世代だね。でも、大学と社会人を経由してプロで2000安打を達成したのは3人だけ。もう1人は古田さんだけど、日刊の評論家には残りの2人がそろっている。若いときの苦労話は?

和田 ボクの若いときはダメダメなヤツだった。楽することしか考えてなかった。

小島 でもこの前、中日の石川の評論で「8割のプレーをしているように見える」って書いてたよな? 自分が若いときに手を抜いてたのに、人に言う?

和田 それは若いときに出てきてほしい選手だからですよ。でも昔は強制的にきつい練習をやらされてた。ボクの場合、自分で考えて野球をやったのは、20代後半でクビになりそうになってから。バッティングのこととか考えてやるようになったんだけど、若いときに強制的にやらされてなかったら、体力面がついていかなかったと思う。サボることしか考えていなかった若手に、無理やり練習させてくれたコーチには今でも感謝してます。

宮本 ベンちゃん、30歳を超えてから1900本以上、ヒットを打ってるもんな。もし若いときから考えて野球をやっていたら3000本ぐらい打ってたな。

和田 でも自分ではそんなに早くから頑張り続けていたら、精神的にも肉体的にも持たなかったと思うんですよねぇ。

宮本 ボクは高校のときから、ついていくのが必死でやり続けてた。現役時代、上から目線で野球をやったことがなかった。やってなかったら、プロにも入れなかっただろうし。

小島 お互いにたたえ合っているけど、単純に言って野球を長くやれたのは、酒が飲めないからじゃないの?

宮本 それはあるかも。でもそうやって言われると、なんかムカつきますね(笑い)。記者だったら、もっとうまい聞き方を考えてよ。

小島 年をとると、面倒くさいからストレートに聞いちゃうんだよ。年下の方が多くなってるし…でも「飲めない」以外では、2人とも食生活に気をつけている気配はない。宮本は肉食だし、ベンちゃんはチキン南蛮とトンカツしか食べない。

宮本 野菜を注文したヤツに「お前は女か!」と言う人に言われたくない。

和田 記者生活も引退に近づいてますね。

小島 もう終わりにしよう!