奥川「ストレスだった」24日にも2度目ブルペン

プロ入り後初めてブルペン投球を行ったヤクルト奥川

喜びいっぱいの初ブルペンだ。ヤクルトのドラフト1位、奥川恭伸投手(18=星稜)が22日、宮崎・西都の2軍キャンプで、プロ入り後初のブルペン投球を行った。令和2年2月22日の2並びにそろえた22球。

膝立ちの捕手に力強い直球を続けた。1月の新人合同自主トレ中に右肘に軽い炎症が見つかってから、慎重に調整を進めてきた。体に問題がなければ、24日にも2度目のブルペンに入る。

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やっと投げられた。キャンプもあと3日で終わろうという最終クールに奥川の“第1球”は訪れた。久々の傾斜、腕を振り抜く感覚。まだ球数カウントにも含めない試運転だったが、ミットが「パンッ」と鳴った瞬間に白い歯がこぼれた。「気持ちよかったです」。投げる度に笑顔になった。

新人合同自主トレ中の1月15日、右肘に軽度の炎症が見つかり、ノースロー調整が告げられた。「ずっと投げられないことがストレスだった。長かったです」。ノックを受けても捕った球はゆっくりトス。思わず返球して怒られたこともあった。はやる気持ちを周りが止めた。「自分のことを思って言ってくださる。何とか我慢できました」。

待望の初ブルペン当日。キャッチボールから力んだ。下半身がふらつき、池山2軍監督が「今日が一番悪かった。大丈夫かなと思った」と心配した状態から見事に立て直した。奥川は「(キャッチボールは)上主導で投げていた」と下半身の補強運動を挟み、上半身の力を抜いて、下からタメをつくる意識付けをした。ブルペン後の同監督は「しっかり修正してきた。さすが」と感心した。

タメをつくるため、小野寺2軍投手コーチと2段モーションにも取り組んだ。この日は当初、立ち投げのみを予定していたが、同コーチが捕手に中腰を指示。体感150キロ近かったという直球が20球を過ぎた時だった。宮本ファームディレクターの「その辺でいいんじゃないか」の声掛けに右腕はおかわりした。「22球と決めてました。そろえたかったです」。令和2年2月22日の22球。初にこだわりを刻んだ。

指から離れたボールは感覚どおりにミットに吸い込まれていった。「投げられたことに意味がある。今日が節目というか、また新しいスタートを切れたと思います」。耐えたかいが、あった。【鎌田良美】

○…奥川より9日早く、ロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18=大船渡)がブルペン入りした。友でありライバルの投球は報道でチェック。速さ、力強さを「すごい」と認めつつ、焦りはなかった。「このキャンプ中に自分もブルペンに入れたらいいなと思っていたので、特別意識することはなかった。目標のブルペン入りをここですることができたので、よかったと思います」と話した。

○…奥川の球を受けた小山田ブルペン捕手は「素晴らしかった。糸を引くというか、落ちてこない、吹き上げてくるようなボールだった」と称賛した。体感速度は150キロ近かったという。ノースローの葛藤もそばで見守ってきただけに、投球後は笑顔で駆け寄ってグータッチ。「僕がずっと捕ってちゃいけない。早く上(1軍)のブルペンキャッチャーや中村、嶋に捕ってもらえる時期がくるといい」と親心をのぞかせた。