矢野監督「手応え感じている」OP戦セ界トップ締め

7回、選手交代を告げる矢野監督(撮影・前田充)

<オープン戦:オリックス4-6阪神>◇15日◇京セラドーム大阪

セ界トップでオープン戦をフィニッシュだ。阪神がオープン戦ラストゲームのオリックス戦(京セラドーム大阪)で逆転勝ちを飾り、4連勝締めを決めた。

12試合7勝3敗2分けは12球団中3位、セ・リーグ内ではトップの好成績だ。矢野燿大監督(51)もチーム力の底上げに手応え十分。新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズン開幕は見えないが、悲願の日本一を目指し、今後は異例の練習試合期間で仕上げていく。

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底上げが実った確信がある。矢野監督が言った。「いい締めくくりというか、それをできたのはもちろんある。競争して全体のレベルが上がっている手応えは感じています」。4連勝、3位でオープン戦全日程を終えた。セ・リーグではトップだ。締めの勝利は、陽川のバットから生まれた。

1点を追う7回2死満塁。陽川は初球を捉え、逆転の3点二塁打。13日に痛烈な打球で相手失策を誘ってサヨナラ勝ちに導き、前日14日も逆転3ランを放った。「今はセンター方向を意識している。それがいい形として出た。1打席1打席、代打という気持ちを常に持って打席に立っています」(陽川)。この日は外国人野手と福留、糸井が試合メンバーから外れ、7番一塁での出場だったが、集中力を維持しての殊勲打だ。

矢野監督も勝利の立役者を称賛した。「後から出る選手(途中出場の選手)も、陽川も本当にすばらしい。今日もすごくいい働き。こっちが使わざるを得ないような結果と内容を見せてくれている」。阪神は昨オフ5人の新外国人と契約。それに伴い競争は激化。陽川の成長はその象徴でもあるが、競争が呼んだ事象はほかにも多くある。マルテと三塁を争う大山はオープン戦首位打者に。前日14日には途中出場7選手のうち6人が安打を放ち、この日も途中出場の島田も安打を放つなど、オープン戦はアピール合戦の舞台となった。昨年のオープン戦で1試合平均得点は3・24だったが、20年は4・08。総合力アップは数字に表れた。

チーム14盗塁は12球団2位。走塁意識も根付いている。この日も3回1死一、三塁で一塁走者の小野寺が挟まれた間に、三塁走者の陽川がホームイン。4回には中前打で出塁した近本が二盗後、1死一、二塁で二塁走者として捕手が投球を前にこぼす間に三進(記録は投手の暴投)。原口の三塁へのゴロで本塁生還した(記録は野選)。ヒットでなくても足で得点できる素地がある。矢野監督も「1個でも前に進む気持ちを常に持って、チームでやりきっている」と振り返った。

この4連勝中に奪った得点は25。うち15点は2死後の得点。しぶとさ、あきらめない気持ちも宿りつつある。まだ開幕時期は定かではないが、20年のペナントレースを迎える準備は整いつつある。【松井周治】

○…もちろん反省点もある。1回1死一、三塁の守備で、中川の三塁へのゴロを大山がタイムリーエラーするなどチームは2失策。12試合で11失策を犯した。矢野監督は「練習すればいい。あれ(1回の大山のプレー)も見切りがちょっと早かった。ボテボテだから捕って、早く二塁で併殺を狙いたいという。ぎりぎりのプレーの中で早く捕って投げたいというのがそうなった。俺は失敗から学べることの方があると思う。成長していってくれたら」。昨年は12球団ワーストのチーム102失策。守備力アップに努めていく。

▽阪神清水ヘッドコーチ(チーム内の競争激化に) 高山が頑張ったり、マルテがサードへの意欲をすごく持ってくれて、外野、サード、ショートは特に(レギュラー選びが)難しくなる。上本も頑張ってくれてセカンドも、ということになるんで、全部いい方に行ってるんじゃないかな。本当にいい競争ができていると思う。両方が上がっていってくれればベスト。