クローザー 12球団の現状は?

巨人の抑え候補ルビー・デラロサ(20年3月1日撮影)

<深掘り。>

20日のプロ野球開幕は延期となったが、各球団のチームづくりは着々と進む。打線の主軸や先発ローテーションを組むのと同様に、近代野球で重要なポジションとなったのがクローザーだ。リリーフ陣を固めることが勝利を引き寄せる。オープン戦が終了したこの機会に「守護神」を深掘りしてみた。

<西武> 胴上げ投手となった昨季に続き、増田が抑えを務めることが濃厚だ。防御率1・81と抜群の安定感で30セーブ達成。春季キャンプでは生命線の直球に苦戦していたが、オープン戦4戦連続無失点と復調した。厚みを増した中継ぎから必勝リレーを締める。

<ソフトバンク> 今年も森が守護神を務める。昨年まで6年連続50試合以上登板の鉄腕は健在。対外試合で抑えとして起用されオープン戦5試合で2失点とまずまず。連投も経験し「違和感なかった」と振り返る。開幕まで自慢のカットボールに磨きをかける。

<楽天> 先発再転向する松井の穴を4投手で争う。筆頭は4年目の森原。昨季64試合登板で防御率1・97と不動のセットアッパーを担った。来日初年度の昨季54試合登板で防御率1・94のブセニッツも双璧をなす。2投手を新外国人のシャギワ、宋家豪が追う構図だ。

<ロッテ> 昨季60試合登板で27セーブをマークした益田が、今季も守護神を務める。昨オフはFA権を行使せず、残留を決意。選手会長にも就任し、優勝への思いは強い。オープン戦では1イニングに3安打を浴びるケースもあり、開幕までに精度を高めていく。

<日本ハム> 抑え筆頭候補は石川直だが上半身のコンディション不良で2軍調整中。開幕延期で回復への時間ができたものの、間に合わなければ実績のある秋吉も控えている。また、オープン戦で5試合連続無失点とアピールした育成3位長谷川の大抜てきの可能性も。

<オリックス> 西村監督はディクソンの守護神を明言している。昨季途中に先発から救援に転向して増井と並んでチーム最多の18セーブ。昨秋のプレミア12でも米国代表のクローザーを務めた。今オープン戦も4試合に登板して無失点と存在感は抜群。

<巨人> デラロサが今季も守護神を務める。昨季終盤から抑えに固定され、8セーブをマーク。150キロを超える直球を軸に変化球も豊富で、制球も安定する。オープン戦は5試合に登板し、4試合で無失点。セットアッパーの中川、ビエイラとの剛腕リレーも注目される。

<DeNA> 昨季30セーブを挙げ2年連続最多セーブを獲得した山崎が、今季も不動の守護神を務める。2月19日の練習試合ロッテ戦で左手首付近に打球が直撃して負傷降板したが、大事には至らず。その後のオープン戦では5試合で通算5回を4安打無失点に抑えるなど、抜群の安定感で順調な調整を続けている。

登板内容も充実している。「持ち場」となる9回にこだわらず、まだ相手主力選手の出場している中盤からマウンドへ。ストレートと決め球ツーシームに加え、カットボールを織り交ぜながら、レギュラー級をきっちりと抑えてきた。

通算163セーブで、侍ジャパンでもクローザーを務める絶対的守護神には、今年も死角はなさそうだ。

<阪神> 矢野監督はキャンプ前から守護神藤川を明言。日米通算243セーブ右腕に絶大な信頼を寄せる。オープン戦は3試合に登板。失点もあったが、試合ごとにテーマを決めており心配なし。今後連投などをこなすとみられる。

藤川は20日からの2軍中日3連戦(ナゴヤ球場、練習試合)で登板見込みだ。金村投手コーチは「空きすぎても気持ち悪いだろうし」と説明。13日オリックス戦は1回5失点だったが、変化球を試す場と決めていた。実戦感覚が失われることを避けるため、異例の2軍戦登板で態勢を整える。

<広島> 抑えは新外国人のスコットとD・ジョンソンが、現時点では有力だ。リーグ3連覇を支えた中崎の離脱により昨季途中から守護神に定着し12セーブを挙げた左腕フランスアも候補の1人に挙がる。

体調不良で一時離脱したフランスアが、コンディション万全を強調した。1週間ぶり1軍合流した前日15日に続き投手練習で精力的に調整。「体調は悪くなかった。ちょっと熱だけ上がったみたいな感じ」。昨季12セーブを挙げた左腕は再び加わる守護神争いについて問われ「センパツ(したい)」とジョークも飛ばし、ご機嫌。18日に中日2軍との練習試合(由宇)で2週間ぶり実戦復帰する予定だ。

<中日> 当初は昨季の抑え右腕R・マルティネスがキューバ代表でオリンピック(五輪)予選出場のため開幕不在だった。左の岡田、右の藤嶋の併用案で臨んだオープン戦で岡田に絞ったが、五輪予選が順延、R・マルティネスは再合流。練習試合の内容次第で左右ダブル守護神もある。

<ヤクルト> 高津監督は基本的に勝利の方程式を決める方針だが、守護神はまだ確定していない状況。18年に35セーブを挙げた石山と、昨季途中から石山に代わって最終回を任され11セーブのマクガフのコンディションを、開幕ぎりぎりまで見極めそうだ。