がん克服の阪神原口、医療従事者に「改めて感謝」

甲子園の外野を走り込む原口(球団提供)

大腸がんを克服した阪神原口文仁捕手(28)が22日、2年連続で苦境に直面しても前向きなメッセージを発信した。甲子園での自主練習に参加し、球団広報を通じて取材に対応。大病から奇跡のカムバックを果たした男は、苦境を乗り越えた自らの経験から各方面へ熱いエールを送った。

   ◇   ◇   ◇

大病を克服した原口だからこそ、届けられるメッセージがある。この日は甲子園で自主練習に参加。マシン打撃で200球打ち込むなど約3時間、汗を流した。昨年1月下旬に大腸がんを公表。2月上旬の退院からリハビリを続け、5月に2軍戦で実戦復帰を果たした。今年は新型コロナウイルスの影響で、開幕が延期。再び苦境に直面した。「2年続けて、このような期間になると思ってなかったけど、昨年とは違った形ですし、施設開放してくれている中で目いっぱい野球ができているので。意味のある時間にしたい」と前を向いた。

チームの活動休止期間は自宅でできる体幹トレーニングなどを続けた。以前から行っているヨガでリフレッシュしていたことも明かす。原口はがんとの闘いを通じ、当たり前に野球ができることの喜び、大切さを発信してきた。新型コロナで人々の日常が奪われている中、「しっかりと目標を持って過ごすことが未来につながっていると思う。どのような状況でも、目標を持つことを大事にしてほしい」と自らの経験を踏まえ、思いを伝えた。

がん治療の過程では、献身的なサポートを受けた医療従事者への感謝も口にしてきた。現在、非常事態の中で最前線に立つ医療従事者に向けては「昨年の病気の際もありがたさを痛感して、今現在も感染のリスクの中で仕事を全うしてくれていてプロだなと。みんなのために…、改めて感謝だと思います」と感謝の気持ちを表現した。

外出自粛や部活動の休止などで、野球少年少女の練習環境は整っていない。そこへ原口流のメッセージを送った。「今、みんなで集まって練習できないけど、次に集まった時にみんなを驚かせるチャンスだと思って。筋トレや野球の動作の練習をやってほしい。今やるかやらないかでは、大きく未来は変わると思う。みんなを驚かせることを目標に練習してもらいたい」。試練を乗り越えたアスリートとして、あふれる思いを言葉にした。【奥田隼人】

<原口の支配下復帰まで>

◆プロ入り 09年ドラフト6位で阪神入り。未来の正捕手候補として期待される。

◆腰痛 プロ3年目の12年に腰を痛め長期離脱。オフに育成選手となる。

◆骨折 13年4月、シート打撃中に死球を受け左手首を骨折。

◆チャンス 16年の春季キャンプでは2軍スタートも、最終クールに1軍に合流。

◆支配下登録、即デビュー 4月27日に支配下選手に復帰し、即1軍昇格。山田コーチのユニホームを借り、巨人戦でプロ初出場、初安打も放った。

◆月間MVP 5月の大活躍で月間MVPを獲得。育成経験のある野手としては史上初。シーズンでは打率2割9分9厘、11本塁打、46打点とブレーク。

◆最大アップ 推定年俸2200万円で契約更改。育成時代の480万円から4・58倍の大幅昇給。

<阪神原口の闘病経緯>

◆がん宣告 19年1月8日に人間ドックを受診した際、がんと宣告される。

◆公表 同24日、球団が大腸がんと近日中の手術を明らかにした。

◆手術 同26日に入院し、腹腔(ふくくう)鏡手術を受ける。数日後に病理検査の結果が出てステージ3bであったことが判明。

◆手術報告 同31日にツイッターで「先日、無事に手術終えました。順調に回復してます」と報告。

◆退院 2月2日に退院した。

◆抗がん剤治療 2月6日から7月9日まで行う。錠剤を4週間飲み、2週間休むサイクルを4度行ったという。

◆2軍合流 3月7日、2軍に合流。鳴尾浜の室内でトレーニングを始める。

◆1軍復帰即適時打 6月4日に1軍登録され、ロッテ戦9回に代打で登場し、適時二塁打。

◆ただいま! 6月9日の日本ハム戦で同点の9回2死二、三塁で代打で中前にサヨナラ打。お立ち台で「ただいま!」と絶叫。

◆球宴で2打席連続アーチ 7月12日のオールスター第1戦で本塁打。同13日の第2戦では先発出場。2回の第1打席で、2試合にまたがっての2打席連続本塁打を放った。