プロ野球開幕6・19前進!25日解除なら決定へ

第8回新型コロナウイルス対策連絡会議後、ウェブ会議システムを利用した合同記者会見に臨むNPB斉藤惇コミッショナー

プロ野球が新様式で開幕する。日本野球機構(NPB)は22日、Jリーグとの「第8回新型コロナウイルス対策連絡会議」と12球団代表者会議を開催。専門家から開幕へ前向きな見解を受け、25日に残る地域での緊急事態宣言が解除されれば、同日予定の代表者会議で6月19日の開幕が決まる見込みだ。プロ野球を愛するすべての人が、新たな形を受け入れながら、国民的スポーツを慈しむ。

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新たなプロ野球の胎動が聞こえる。無情の3月20日開幕の延期から約2カ月。新型コロナウイルスに対する忍耐の日々から、共生へとシフトチェンジが図られる。NPB斉藤惇コミッショナー(80)は「みなさんのご努力で環境も変わってきた。先生方からは前向きな詳細な提言をいただいた。25日に(緊急事態宣言が)解除されれば、開催日予定、(練習試合の)スケジュールもお話しできると思う」と踏み込んだ。

対策連絡会議の専門家メンバーである賀来氏も、予断は許さないとした上で「開催の方向に1歩踏み出しつつある」と評価。「夏の甲子園が休止になってしまい悲しい出来事だったが、プロ野球とプロサッカーが開催になることは、国民も大きな期待を持っていると思う」と文化的意義も説いて後押しした。

もちろん、かつての様式美は、ない。3月中旬の提言書で「流行時には無観客試合」とされたが「当面は無観客試合」と修正。感染状況は地域差があるが「(無症状の)サイレント感染者が多いか分からない。再流行のリスクは念頭に置く必要がある」と線を引く。12球団一律で、無機質なスタンドが長期化しそうだ。

それでも文化を守り、新たなステージを示す。「公式戦の中断、延期」に触れ「チーム内でのクラスターにより、長期にわたり活動が休止する場合は公平な公式戦にならないこともある」と記された。

公平が絶対的だったプロスポーツだが、選手の生命、健康には代えがたい。「発熱などの症状がなくても必要な休養を取らせる」「家族らへのケアができるよう、選手には必要な時間を適宜与える」。勝利至上の世界で相反する指針に映るかもしれない。チームの枠を超えてプロ野球という大船に乗り、未曽有のシーズンを完走することが何よりも尊い“勝利”になる。

最短6月19日の開幕へ、前例のない調整を行う。同2日に練習試合を再開し、12試合を予定。首都圏に8チーム、関西に4チームを集める。開幕もセ・リーグは首都圏で迎えて2週間程度、複数カードを実施し、西へ開催を移す可能性がある。パ・リーグも6連戦を軸に、移動リスクを軽減させる案がある。公平でない側面も出るが、大義のために受け入れる。

プロ野球の新様式をどう築くか。ファンの創造性も借りる。球場へ駆けつけられない分、旧知の仲間とオンラインで国民的スポーツを共有する。ステイホームで在宅時間が増えたお父さんが、わが子とテレビ観戦する。もっと想像を超えた楽しみ方も生まれてくるだろう。選手も、スタッフもファンも、プロ野球にまつわるすべての人々が新しい様式美を追求していく。【広重竜太郎】

▽西武飯田球団本部長 埼玉県には十分、ご理解とご協力をいだだきながら、無観客試合を実施できるように調整していきたいと考えております。

▽日本ハム川村球団社長兼オーナー代行 専門家から明るい、前向きな感じの提言を頂いた。それぞれ、首長とよくコミュニケーションを取ってくださいということ。いくつかの球団は取っているとのことですが、ウチはまだなので、今日から(北海道や札幌市に)アポ取りを始めました。

▽中日加藤球団代表 (緊急事態宣言が)全地域で解除されていれば具体的な日にちや練習試合をどうするという話になったと思う。次(25日)まで待ちましょうということになった。

▽ヤクルト江幡専務 (東京都への説明は)巨人さんに、いろいろとお話をしていただいている。緊急事態宣言が解除されてから、巨人とヤクルトが手を携えて、都庁に「よろしくお願いします」と行くようになると思う。

<専門家チームからの主な追加提言>

◆対策を考える上での基本事項 新型コロナウイルスの感染時期について、発症2日前程度と追記。症状がない場合でもマスク着用や手指衛生による防止策が大切。陽性から陰性化した後に再度陽性化も報告されており、感染後の復帰は慎重な判断が求められる。

◆開催に当たっての考え方 各都道府県知事の方針に反しない形で開催を検討。選手の負担軽減を考慮した特別ルールの適用も必要。ミーティングや打ち合わせなどはなるべく屋外で行う。安全な移動、負担軽減を考慮したゲーム運営。選手に発熱などの症状がなくても、必要な休養をとらせる。選手および関係者の事前検査を推奨。濃厚接触者の洗い出しは地域保健所、行政の指導のもとに行う。

○…NPBが、感染予防のためのガイドラインを作成し12球団に配布した。先んじて開幕している韓国、台湾プロ野球のガイドラインを参照に約80ページでまとめた。感染者が出た場合の対応などについて書かれている。21日に各球団に渡し、選手ら現場の意見を集約して25日の12球団代表者会議での最終形を目指す。