異例の同一カード6連戦と「10・19」/日程秘話

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セ・パ両リーグは19日に開幕するペナントレースの1カ月分の日程を1日、発表した。セ・リーグは東西での集中開催、パ・リーグは同一カード6連戦が中心となる異例の日程編成。データ面から同一カード6連戦の異例度、埋もれていた秘話を探る。

球宴を挟み同じ相手が6試合続くのは、昨季のオリックス-楽天などがある。CSファイナルでは同一球場で6日連続の対戦が14年ソフトバンク-日本ハム(ヤフオクドーム)など両リーグで3例あるが、公式戦で連続6日以内の同一カード6連戦は1988年(昭63)10月9~13日、近鉄とロッテが藤井寺、川崎で各3試合を5日間で行って以来になる。

この6連戦があったからこそ10月19日、驚異的な高視聴率を獲得した「10・19」のドラマが生まれたのだ。

同一カード6連戦直前の10月7、8日、近鉄は西武に連敗し、首位から陥落。西武に2ゲーム差をつけられた。ところが、同9日に藤井寺のロッテ戦で5-3と勝利すると、翌10日にはダブルヘッダーでロッテに連勝。さらに移動日なしでロッテの本拠地・川崎球場に移動した11日にも4-2で勝利。12、13日にもロッテを下し、同一カード6連戦6連勝を飾ったのだった。

近鉄はさらに移動日なしで14日に藤井寺に戻ると、阪急戦に勝利で7連勝。15日は大阪、16日は藤井寺、17日は西宮と関西地区を転戦。またも移動日なしで18日に川崎に遠征してロッテを下すと、運命の「10・19」ダブルヘッダー・ロッテ戦を迎えたのだった。近鉄は7日から19日まで、13日連続で15試合というハードスケジュールだった。

10月の連戦は開幕時に組まれた日程ではなく、中止試合を後から組み込んだケース。57年10月11~17日には西鉄-東映(平和台)が7日間で同一球場9連戦を行っている。

今年もドラマは生まれるか。

◆10・19とは 1988年(昭63)10月19日に川崎球場で行われたロッテ-近鉄のダブルヘッダーのことを指す。先に全日程を終了していた西武に対し、近鉄は連勝すれば優勝だった。1戦目は9回に代打梨田の決勝打で4-3で勝ったが、2戦目は延長10回、4-4で引き分けて優勝を逃した。当時は延長戦の際、4時間を超えた場合はそのイニングをもって終了という規定があり、延長10回裏ロッテ攻撃中にタイムオーバー。優勝の可能性が消滅した。この悔しさを糧に、近鉄は翌89年にリーグ優勝を果たした。