阪神に突き刺さる“自滅の刃”拙守連発で借金「7」

中日対阪神 4回裏中日2死一塁、阿部の打球をマルテが二塁へ悪送球、ベースカバーの糸原が捕球できず。走者高橋(撮影・前岡正明)

<中日6-3阪神>◇1日◇ナゴヤドーム

あぁ、自滅の虎…。阪神が拙守連発で96年以来となる開幕4カード連続負け越しを喫した。4回にマルテ、5回に糸原が失点に直結する失策を犯し、試合の流れを手放した。貧打&投壊に加え、課題である守備も乱れて、三重苦で借金は「7」に膨らんだ。

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もう、何やってもアカンわ…。窮地の猛虎が拙守連発で96年以来、2度目となる開幕から4カード連続負け越しを喫した。開幕から3度目の3連敗で2勝9敗。借金はあっという間に7まで膨らんだ。試合後の矢野監督は力なく話した。「あれじゃあ、ピッチャー、大変だよね。打線もちょっと点を取れない中で。まあ、痛いし。何ともいいようないけど…」。指揮官が「あれ」と話したのは試合を決めた2つの適時失策だ。

試合中盤に目を覆いたくなるようなシーンが続いた。4回、高橋に同点適時打を浴びた直後の2死一塁。阿部のゴロを捕球した三塁マルテが二塁へまさかの悪送球。右翼方向にボールが大きくそれた。カバーに入った糸井も遅れ、ボールは右翼ファウルゾーンを転々。一気に一塁走者が生還し、勝ち越し点を献上してしまった。

信じられないプレーはこれで終わらない。4点ビハインドとなった直後。5回1死一、三塁の場面。高橋の二塁正面への平凡なゴロを二塁手糸原がファンブル。併殺コースと思われた当たりを適時失策し、6点目を奪われた。7回には4番手望月も二塁に悪送球を記録。1試合3失策とディフェンスが崩壊した。

幸先は良かった。3回、梅野が先制の2号ソロを放ち、20イニングぶりにスコアボードに得点を刻んだ。さあ、ここからというところで守備のミスが続き、11試合目にして今季5度目の逆転負け。昨季、12球団ワーストの102失策を犯したが、今季はこの試合まで2失策。慢性的な貧打に、中継ぎのほころびが目立つなか、ポジティブ要素だった守備が乱れた。

首位巨人とは5・5ゲーム差のままだが、黒星を積み重ねる矢野阪神に危険な数字が迫る。阪神がリーグ優勝した過去5シーズンのうち、首位との最大ゲーム差は64年の6・5差。2日に阪神●、巨人○なら、デッドラインに足が乗る。9回に飛び出したボーアの来日初アーチが唯一の救い。もう、負けられない。5位中日に「3タテ」だけは避けたい。【桝井聡】

▼阪神が中日に連敗し、開幕から4カード連続で負け越した。これは96年以来2度目。同年は巨人、中日、広島、ヤクルトにいずれも1勝2敗で負け越し、5カード目の巨人戦に2勝(1試合は雨天中止)してストップ。だが、その後も上向かず、4月23日から6連敗。5月も5連敗、4連敗するなど苦戦が続いた。5月11日に最下位に転落するなど終始下位に低迷。期待されたマース、クレイグら助っ人野手も不発で、チーム打率、得点はリーグ最下位。藪、湯舟、川尻ら投手陣を援護できなかった。9月13日には藤田監督が休養。柴田チーフコーチが代行したが、最終的に5位横浜と1差の54勝76敗、勝率4割1分5厘で最下位に終わった。