ヤクルト村上、虎党の声援も集中力途切れずV打

阪神対ヤクルト 7回表ヤクルト1死満塁、村上は中前適時打を放つ(撮影・加藤哉)

<阪神5-9ヤクルト>◇15日◇甲子園

「能見ー!」「がんばれー!」。阪神ファンの声援は、耳に届いた。それでも、ヤクルト4番村上宗隆内野手(20)の集中力は途切れなかった。4-4で迎えた7回1死満塁でマウンドは阪神能見。カウント2-1で間を嫌い打席を外した。甲子園のスタンドからは、大声が上がった。直後に球審がアナウンス席に近寄ると「お客様へお願いいたします。声を張り上げての応援はおやめ下さいませ」の場内アナウンスが流れた。

異様な雰囲気の中、表情をピクリとも変えなかった。カウント2-2から、144キロ直球を中前へはじき返し2点勝ち越し。一塁上で、2度ガッツポーズをし「(ファンの声は)聞こえてました。結果的に、打てたので良かった」と冷静に振り返った。

3試合連続の先制タイムリーも放ち、打点は24まで伸ばしてリーグトップ。自分を信じて、回してくれたチームメートをかえすことが4番の仕事だ。「その数字は、出塁してくれる先輩がいるおかげ。もっと打点を増やしていきたい」。本塁打は7月2日広島戦の3号で止まっているが、得点圏打率4割6分2厘はチームトップの数字。高津監督も「走者がたまったところで、自分が何をすべきか。相手の心理状況、配球を読んだりして、成長の跡が見られる」と認める。4番村上の成長物語は、まだ始まったばかりだ。【保坂恭子】