阪神サンズ上昇気流の陰に“小さな打撃コーチ”あり

阪神対ヤクルト ヒーローの阪神サンズは帽子を取ってファンにあいさつする(撮影・上山淳一)

<阪神6-4ヤクルト>◇16日◇甲子園

パパは今日もやったぜ! 阪神の新助っ人ジェリー・サンズ外野手(32)が、貴重な同点弾で劇的な逆転勝ちをお膳立てした。

勝ち越しを許した直後の8回1死。4番手清水の落ちきらなかった136キロフォークボールを仕留めた。「甘い球が来れば、しっかり強くたたこうと。少し高めに浮いてきたので、しっかりとたたけました」。バットにうまく乗せて運んだ打球は、歓喜の虎党も混じる左翼席へ。甲子園初アーチとなる3号同点ソロが、直後の福留弾への流れを生んだ。

この1発で4試合連続安打。一時は1割を切っていた打率も、2割6分8厘と数字を上げてきた。活躍の陰には、“小さな打撃コーチ”の存在がある。本拠地甲子園の試合には、モーガン夫人と2人の息子が観戦に訪れている。時には打席を待つ次打者席で子どもたちに手を振り、パワーをもらっている。三振した試合では「もう三振しないで」と喝も入った。この日は父の格好いい姿を見せられたが、第1、2打席の三振に「最初の2打席…もしかしたら怒られるかもしれないね」と笑みがこぼれた。

矢野監督は同点弾を「ホームランがいい形で出て、チーム全体にもいい影響を与えた」と高評価。日頃から研究熱心な新助っ人は、チームメートの背中にも学んでいる。この日復活の決勝弾を放った福留もまた、その1人。「先発であろうとなかろうと、毎日同じようにしっかり準備されている素晴らしい方。そばにいてくれるのは心強い」と、リスペクトも忘れない。

本拠地初のお立ち台でトラッキー人形をゲットした。「1つだったら子供たち(2人)がけんかになるから、早く2つ目がもらえるように頑張るよ」。小さなコーチにもう1つ人形を贈ることを約束した。甲子園のダイヤモンドをゆっくり堪能し、ヒーローインタビューでは「アリガトウゴザイマス! ガンバリマショウ!」と力強く宣言した。サンズのバットも上昇気流に乗り、チームを勢いづける。【奥田隼人】