ドラ1候補苫小牧駒大・伊藤大海 最後のリーグ戦へ

リーグ開幕に向けフォームを確認する苫小牧駒大エース伊藤(撮影・永野高輔)

北海道6大学野球秋季リーグが22日、苫小牧・とましんスタジアムで開幕する。今秋のドラフト1位候補で最速155キロの苫小牧駒大エース右腕、伊藤大海(4年=駒大苫小牧)が、ラストシーズンでのリーグ制覇を誓った。新型コロナウイルスの影響で、春季リーグは中止。主将となって初めて迎える公式戦でチームを頂点に導き、自身の夢への道も切り開く。

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大学最後にタイトルをつかみ、プロへと駆け上がる。伊藤は北海道6大学にデビューした18年春季リーグ戦で優勝。「優勝で始まった。最後も優勝して終わりたい」と意気込んだ。コロナ禍で春季リーグが中止になり、今季最初で最後のリーグ戦になる。「アピールの場は少なくなった。いい意味で、いつもと違う緊張感を持って臨める」と前向きに話した。

コロナ禍での自粛期間は「1年目のことを思い出した」と言う。駒大を1年秋で中退し苫小牧駒大に再入学したため、大学野球の規定で1年時は公式戦に出場できなかった。「初心に戻り、あの時みたいにトレーニングに没頭できた」。ランニングをしながら、使う体幹や適切な重心を研究。さらに応用し、投球時の重心は、どこがいいか分析した。「日によって合う重心が違う。その引き出しを増やせた。実戦を繰り返しても、調子の波が減った」と手応えを口にした。

2年から侍ジャパン大学代表のストッパーとして活躍。昨年の時点で既に複数のスカウトが「ドラフト1位候補」と口にする逸材だ。同代表のチームメートで昨秋ドラフト1位の広島森下暢仁(22)は、14日に新人一番乗りで完封勝利を挙げた。伊藤が翌日「ナイスピッチング!」とメールすると、すぐに森下から「たまたまだよ」と謙遜気味に返事が届いた。「たまたまでできるのがすごい。来年はライバルになるかもしれない。負けられない」と気持ちのギアが1段上がった。

リーグ初戦の相手、北海道教大旭川が活動自粛で8月中はリーグ参戦できないため、22、23日の開幕節は不戦勝となる。事実上の開幕は29日の第2節旭川大戦だ。「3戦目の相手とやるというやりにくさもあるが、逆に先に2勝しているという気持ち的な余裕を生かせたら」。大学は21年春から北洋大と名前を変える。リーグを制し、自らの名をドラフトに連ねることで「苫小牧駒大」の最終章に、花を添える。【永野高輔】

◆伊藤大海(いとう・ひろみ)1997年(平9)8月31日、鹿部町生まれ。鹿部小2年から本格的に野球を始め、鹿部中では函館東リトルシニアに所属。駒大苫小牧高では2年春のセンバツに出場し、初戦の創成館(長崎)戦で3安打完封勝利。16年に駒大進学も同年10月に中退し17年に苫小牧駒大再入学。18年全日本大学選手権では初戦の日本文理大戦で2失点完投勝利。18、19年侍ジャパン大学代表。家族は両親と姉、弟。176センチ、80キロ。右投げ左打ち。

◆20年北海道6大学野球秋季リーグ 22日に苫小牧・とましんスタジアムで開幕し、9月22日まで2回戦総当たりで行われる。今年は新型コロナウイルスの影響で春季リーグが中止になったため、北海道学生連盟としては1年ぶりのリーグ開催となる。試合は各会場、有観客で行われ、入場料は一般500円、学生300円。