今季限りでの現役引退を決めた阪神藤川球児投手(40)が1日、兵庫・西宮市内で引退会見を行った。「1年間、体の準備が整わないのはプロとして失格」と決断理由を語ったが、「僕は僕でもう1発、なんとか」と1軍戦力に戻る決意を明かした。目標はあと5に迫る日米250セーブではなく、「優勝すること」ときっぱり。98年の入団会見時に宣言した3度目Vで有終の美を飾るべく、大逆転Vを信じて体を仕上げる。
<一問一答つづき>
-阪神に入団して良かったか
「この人生しかないし。名前、藤川球児、じゃないですか。他のたくさんの方や選手に失礼かもしれないけれども、自分が一番、タイガースに似合っていると思います」
-野球少年に向けて野球人生の中でどんな姿を見せてこられたか
「プロになった時の憧れだったんですよね。それに関しては(自分が)目指した選手のように、誰かから目指されたい、選手になりたいと言っていたんですけども。まさかね、そんなふうになるとは、なるはずがないと思ってたんですけども」
-一番印象に残っている瞬間は
「一番…。難しいな。あまり覚えていないかもしれないです(笑い)。今日より明日、幸せになりたいのが、自分の人生のモットー。明日、もっといい日になる気がして。あさっても…。もしかしたら痛みがなくなっているかもしれない、まで考えてるから。思い出は…あるけど、もっといい思い出が出てくるかもしれないので止めておきましょう」
-分かっていても打てない直球へのこだわりは
「自信があったわけじゃない、と言えばウソになる時期はありました。もう簡単に三振を取れるし、なんだこれは、と。自分の生きていく自信にはなりました。性格も含めて野球に作られて、どんどん自分という人間が成長させてもらえて、ストレートで人格を形成されそうになって来て、最近ちょっと変化球を投げて。人間的にもそれ(直球)だけじゃ駄目だなと、野球と同じように。つながりますね、やっぱり人生ってね。だけど、脇目も振らず頑張れたのは、そのボールがあったので。非常に自分にもいい青春だったと思いますね」
-引退を決めた理由の1つに直球が自分のイメージと違った部分はあったか
「昨年から実はあったんですよね。コントロールがうまくいかない、と。それは僕の中では確実に何かあるな、と。体の状態で。だけど、戦うことのほうが優先なので。僕なんかが別につぶれてもいいんですよ。なんで、止まることなく戦ってきたんですけど、コントロールが悪くなって、正直言って、いわゆる寿命じゃないですか」
-松坂世代はどんな存在
「引退することを今日発表出来るようになって、誰が一番自分の中に残るって言ったら、松坂かな。彼が本当に頑張っているんで。僕は自分が故障して投げられなくなったところからまず復活を、自分の中で自分自身に勝てたというふうに思ったんですよ。だから、そのためにやってると思うんですよね。自分に勝てるかどうか、投げ勝つことになるんですよね。彼はその強さがある。だから彼も現役でやってるし、和田も現役で、肩の状態が悪かったところから復活してやってる。自分自身に勝とうとしている。僕はそういう選手たちが実は一番、夢を与えてると思います」
-同じ世代から受け取るもの、感じるものも大きい
「それは大きいですよ。先輩方もそうやって、やってきましたからね。金本さんもそうだし、みんなそうやってシモ(下柳)さんもそうだし。たくさんの方たちが戦ってきましたから。僕イチローさん大好きですし。生き方をずっと勉強しているし。いつか飲みたいなと思うぐらい尊敬している。僕が思うのは、そこまでキャリアをやりたいということなんですよ。そこまでやってしか語れない」
-松坂選手からはどういった言葉を
「僕から言うことじゃないです。僕は自分自身に勝ったんだよ、と。なので絶対彼も、と。僕が今、18番ホールの最後ぐらい、そこまで来たんじゃないですか。松坂は最後、上がってくるはずなんですよ。それを待つ。みんなで待ちたい。みんなそこで待ってると思う。それぐらいの選手ですよ本当に」
-松坂世代と言われることも誇りか
「誇りが多すぎるとどれが誇りか分からなくなるけれど。(松坂は)戦ってる最中だから、やっぱりけがって苦しいんですよ。だから何とか精いっぱい応援してあげてほしい。それが彼のためなんです」
(続けて)
「あ、訂正しとこ。あいつは絶対求めてないよ。松坂は求めてないよ。僕と一緒で叱咤(しった)激励とかヤジが大好きだから(笑い)」
-今までで、うれしかったこと、苦しかったことどっちが多いか
「この前、長嶋一茂さんがテレビで、100勝99敗みたいなことを言ってたんですよね。だいたい人生って。だからしょせん、そんなもんなんだろうなと思う。別に誰かと比べることじゃないから。苦しかったけど僕、自分に勝ちましたからね。だから楽しかったでいいんじゃないですか。たくさんの方に、藤川球児という人を知ってもらえたというのは、生きてる中でこんな最高なことはないと思うんですよ。僕は幸せをファンの方に、先輩後輩にいただいた。苦しいも楽しいも全部人生勉強で、面白いですよ」
-これまで有言実行してきた。最後、どういう形で終わるか
「有言実行ができなかったシーズンですからね、今年が。だから辞めてくわけだ。僕がいると僕以上(の選手が)出てこないかもしれないし。いなくなった方が出てくる気がします」
-中学時代や高校時代の恩師からこれまで言葉をかけられた時の率直な思い
「何が自分を成長させてくれたんかなというのは、優しい言葉じゃないですよ。きつい言葉なんですよ。岡田監督の時に10連投もしたこともあったけど、球団の方やコーチの方とか、ムリして投げることはないと。かといって、岡田さんは投げれなかったら入るなベンチに、と。仕事だってそう思うんですよ。だから『おれはそんなもんじゃないと。やると決めたらとことんやれ』と。いまだにそれは残ってるし。いい言葉、甘い言葉というのは全く実になってない」
-それは球児さんの持っている気性?
「確かにそれも思います。僕、土佐のいごっそう(気骨があること)を自負しているから、坂本龍馬が大好きで。今後の人生は自分の中で、後輩のために役立てるような人生でありたいし。もっともっと自分を探していきたいですね」
-理想の最後は
「それは言えないです。戦ってるんですから、グラウンドは。出た時にどう感じてどうなるかというのは、アドレナリンというのはあると思うんですよ。だから4万5000人のファンの方がほしいし、実際。無観客から最初始まって、これだけ寂しいことはないと思いましたから。お客さんがいようがいまいが、100%の力を出すんだと思い込んでいたんですけど、本当に家(球場)はもぬけの殻やったから全然力出ないし。言い訳としてとらえてもらってもいいんですけど、それが大きかったですよ。いつ投げるかも、言えない。それは自分の体と向き合わなきゃいけないし、次止まる可能性がある。その時点で終わりなんですよ、もう2カ月半しかないんで。1カ月で故障してしまったら、再発したら間に合わない。プレッシャーはかけてますけども、1日でも早く、1分でも早く。だけどそれをいちから倒す選手が出てきてほしい」
-やはり巨人戦というのは特別だったか
「当たり前です、そんなこと。それは、僕は誰に何を言われても絶対こう言わないといけないです。僕はもう阪神の先輩方から伝統を預かって、今年限りでその任務を解かれるわけですけども。それも含めてつながなきゃいけないんですよ。やっぱこれはファンの思いなんですよ。西対東、東対西。阪神に入った時にそういう教育があってから18年。それは外せないですね。生え抜きの大変さは必ずあります。誰が何といってもこれだけは譲れない。譲らないですねそれは。向かっていかなきゃいけないんですから。特に原監督やし(笑い)」
(最後に)
「すみません、ありがとうございました。いろんなこと言えたか分からないですけど、思ったままに言いました。あと2カ月半、よろしくお願いします。タイガースが勝てるようにいきましょう!」