<阪神6-1巨人>◇5日◇甲子園
阪神高橋遥人投手(24)が猛虎のレジェンドに並ぶ快投を見せた。無四球1失点でプロ初完投。巨人戦での14奪三振は、小山、村山、江夏に続く球団史上4人目(延長戦をのぞく)。相手の4番岡本から3打席連続三振を奪い、本塁打王を争う大山を強力援護。自身のG戦連敗を「3」で止め、今季4勝目を挙げた。
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最後まで、面白いように巨人打線のバットが空を切った。9回2死、3番坂本から14個目の三振を奪うと、高橋は喜びのガッツポーズ。4番岡本を3三振に抑え込む完璧なG倒だ。今季4勝目をプロ初完投で飾った。「(三振は)10いったか、いってないかくらいかなと思ったので、ちょっとびっくりしてます」。お立ち台でのんびりと話す一方で、歴代の名投手にも肩を並べた。阪神の投手が巨人戦で14三振を挙げたのは、江夏豊以来4人目の快挙だった。
緩急で翻弄(ほんろう)した。この日の最速は145キロ。130キロ台中盤の直球も多投した。「真っすぐが力を入れても全然良くなかったので。球速自体は10キロ近く変わる。真っすぐを良く見せるための真っすぐです」。このオフから取り組んできたカーブも6球。4回に先制された後に岡本から空振り三振を奪うなど、要所で生きた。「昨年から練習してきて、試合を組み立てるパターンに入ってきたっていうのは、すごくうれしいです」。キレのある直球だけではない。また大きな武器が加わった。
今年の1月。初めて参加した母校亜大の自主トレで、今後に生きる金言を授かった。「カーブを投げ始めてから、長いイニングを投げられるようになったよ」。声の主は、ソフトバンク東浜。ブルペンで横に並んだ先輩から、経験に基づく大事なアドバイスをもらった。「東浜さんから聞けたので。やっぱり緩急って大事だなって思いました」。昨年の秋から続けていた新たな取り組みに、背中を押された気がした。
この日は打席でも6回に中前打を放ち、プロ初打点を挙げるなどマルチ安打。「自分でもちょっと、こんなバッティング良かったっけなと思って。バッティングのほうがほめてあげたいですね、はい」。お立ち台でおどける高橋に、球場のファンは笑顔で大きな拍手を送った。矢野監督も「いい意味で力が抜けて、間があって強弱があって。そういうことが完投につながったと思います」と中5日での完投を手放しにたたえる。最初の1球から113球目まで、この日の主役はプロ3年目の左腕だった。【磯綾乃】
▼阪神高橋がプロ初完投、初の無四死球をマークし、自己最多の14三振を奪った。9回終了試合で巨人から14奪三振以上は93年6月9日の伊藤智仁(ヤクルト=16個)以来。阪神投手の14奪三振以上は87年9月10日ヤクルト戦の猪俣隆(14個)以来。阪神投手の巨人戦14奪三振は最多タイ。延長戦を除くと小山正明(58年6月10日)村山実(59年5月21日、60年4月16日)江夏豊(67年10月8日)以来4人目、5度目。80年4月19日には、江本が9回まで奪三振12、延長10回に2つ加え、計14三振を奪った例がある。