<DeNA6-5阪神>◇1日◇横浜
赤星超えの韋駄天(いだてん)だ!! 阪神近本光司外野手(25)が球団史上初めて新人から2年連続30盗塁を達成した。1回と7回に二盗を決めて到達。球団最多の381盗塁を誇る赤星憲広ですら成し得なかった快記録だ。4安打で打率も今季最高の2割9分8厘にアップ。新人から2年目以内に「3割&30盗塁&10本塁打」を達成すれば、1958年(昭33)の巨人長嶋以来3人目。残り6試合、近本から目を離せない。
劣勢でも貪欲に攻める。1点を追う7回1死一、三塁。一塁走者として左腕砂田の糸原への初球に盗塁を敢行。敵のバッテリーをかいくぐって左足から滑り込み、二塁を陥れた。好機を二、三塁に広げて、一時逆転のホームを踏んだ。
「走れる機会があれば、しっかり走っていこうと思っていた。そういう場面でしっかり走って、また、点につながるような盗塁をこれからもやっていきたい」
「赤星超え」の一戦だった。1回にも二盗を決め、節目の30盗塁に達した。球団最多の381盗塁を誇る赤星ですら2年目の02年は26盗塁。新人から2年連続大台がいかに難しいかを物語る。赤星はプロ2年で65盗塁。近本はこの日2盗塁で66盗塁となって通算数も逆転した。サヨナラ負けで連勝は6で止まったが、盗塁王争いトップを快走する男の足技が光った。
あの赤星は全盛期「足にスランプはないと言うけどそれは違う。スタートを切るのに勇気がいるんだ」と話し、走ることに執念を燃やしていた。近本は伝説のスプリンターに憧れた。盗塁シーンも動画でむさぼるように見ている。盗塁には「3S」がある。スタート、スピード、スライディング…。近本もあらゆる局面を磨きに磨く。二盗で滑り込む際、捕手側に背を向けるのも赤星と同じだ。昨季は1年目から36盗塁。順調に数を増やしても、まだ改善の余地があるという。
ある球団関係者が「もっとつま先で走れれば、もっと速く走れるはず」と明かしたことがある。足のどこで着地するか。かかと付近よりも、つま先付近の方が足の接地時間は短くなる。いわゆる、トップランナーにトレンドの「フォアフット走法」だ。ゼロコンマ数秒のロスすら削る。当初の143試合換算でも、昨季をわずかに上回る37盗塁ペースだ。敵が研究を重ねても、快足は止まらない。
この日は4安打。打率も2割9分8厘に上げ、プロ初の3割も目前だ。2桁本塁打にも王手をかけており、プロ2年目以内の「3割&30盗塁&10発」なら58年巨人長嶋以来だ。球団初の2年連続30盗塁の話題にも「そういうのはあまり気にしないですね」と冷静だ。脇目も振らず、ラストスパートする。【酒井俊作】
▼近本が2盗塁で、リーグトップの30盗塁。近本は1年目の昨季も36盗塁しており、プロ1年目から2年以上続けて30盗塁は、17~19年源田(西武)以来8人目。セ・リーグでは52~53年佐藤(国鉄)に次いで67年ぶり2人目で、阪神の選手では初めて。また4安打の固め打ちで打率2割9分8厘とし、3割にも最接近。新人から2年目以内に打率3割(規定打席以上)、30盗塁をクリアしたのは過去6人(外国人選手除く)。そのうち2桁本塁打もクリアしたのは53年中西太(西鉄、2年目=3割1分4厘、36本塁打、36盗塁)と58年長嶋茂雄(巨人、1年目=3割5厘、29本塁打、37盗塁)の2人だけ。近本は現在9本塁打。史上3人目の快挙も狙える。