ソフトバンク1位井上が仮契約「3割30本が目標」

ソフトバンク1位指名の花咲徳栄・井上はハリスホークを手に笑顔を見せる(撮影・足立雅史)

ソフトバンクのドラフト1位、花咲徳栄・井上朋也内野手(17)が4日、埼玉・加須市内で入団交渉に臨み、契約金8000万円、年俸880万円で仮契約を結んだ。将棋で今年、史上最年少タイトルを獲得した藤井聡太2冠(18)は2002年度生まれの同世代。鷹の未来を背負うスラッガー候補は「首位打者」に狙いを定め、球界の最年少タイトルを狙う。(金額は推定)

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井上は初めてソフトバンクのユニホームに袖を通し、帽子をかぶせてもらうとキリッと引き締まった表情を見せた。「あらためて、プロ野球選手になったなという実感が湧きました。やっとスタートラインに立つことができた」。これからプロの世界で戦う覚悟を決め、心が奮い立った。

高校通算50本塁打のスラッガー。球団は「次世代の中心選手」候補として期待をかけている。本来は外野手だったが、高2秋から三塁にコンバート。球団も三塁で勝負させる考えだ。福山アマスカウトチーフは「5ツールと言いますか、走攻守に加えて落ち着いた高いレベルの精神力がある」と高く評価。前日に就任会見した小久保ヘッドコーチも挙げた「ポスト松田」を狙う存在になる。

2002年度生まれの同学年には、将棋界の至宝がいる。今年、史上最年少で王位と棋聖のタイトルを獲得した藤井聡太2冠だ。高卒野手では今年唯一のドラフト1位指名で、球界では世代トップを走る井上だが、「同じ同級生なのか…と思いますね」と、藤井の活躍ぶりには舌を巻く。井上自身も「小さい頃は好きでした。友達とよく遊んでいました」という将棋好き。「飛車が好きでした。攻めるのが好き」と攻撃的な野球と同じスタイルだ。

目指すは藤井2冠に負けじと、最年少タイトルだ。「セールスポイントは打撃。3割30本が目標」。万能型を目指すが、「打率にはこだわりたい」ときっぱり。中でも狙いを定めるのは「首位打者」タイトルだ。2リーグ分立後の最年少首位打者は、高卒3年目の21歳シーズンで獲得した94年のオリックス・イチローだ。「1、2年は年間通して戦える体作りをしたい。最終的にはソフトバンクの中軸を担えるようになりたい」。1、2年目は鍛錬に励み、3年目に花を咲かせる。鷹を背負う新世代の主砲を目指す。【山本大地】

◆井上朋也(いのうえ・ともや)2003年(平15)1月28日、大阪・四條畷市生まれ。中学時代は生駒ボーイズ(奈良)でプレーし、17年の世界少年野球大会で日本代表に選ばれた。花咲徳栄では1年春からベンチ入り。1年夏、2年夏は外野手で甲子園を経験。2年冬から主将を務め、内野へコンバート。センバツ切符をつかみ、今夏の甲子園交流試合にも出場した。高校通算50本塁打。180センチ、87キロ。右投げ右打ち。