井納が巨人入りへ 断食、滝行で精神研ぎ澄まし決断

滝行で心身を鍛練するDeNA井納

今オフ国内フリーエージェント(FA)権を行使したDeNA井納翔一投手(34)が巨人入りを決めたことが10日、分かった。近日中にも正式発表される。

巨人と同日の6日に交渉の席についたヤクルト、残留交渉中のDeNAに巨人入りの意思を伝えた。7日から京都市内の山中にこもり、2泊3日の日程で断食を敢行。「空腹の宇宙人」が滝行、座禅などの“修行”で精神を研ぎ澄まし、決断を下した。

  ◇   ◇   ◇

井納が心の声に耳を澄ました。DeNA、ヤクルト、巨人の選択肢から熟考を重ねてきた。「3球団とも評価してくれたことも素直にうれしかった。今までのことも考えたし、これからの野球人生を考えた。お金とか条件ではなく、原監督からメッセージをもらったことが自分の中では大きかった」。交渉解禁日後に巨人原監督から直接メッセージが届いた。内容は自身の中だけにとどめたが、決断への決め手になった。

交渉解禁日だった6日にヤクルト、巨人と初交渉した。翌7日から“断食修行”のために京都市内に向かった。2泊3日の間は酵素ドリンクのみで食事を断った。「2日目はおなかがすきましたが、あとは大丈夫でした」と早朝6時起床で山道を散歩、クラシック音楽鑑賞。寺院で座禅を組んで法話を聞き、冷え込む山中で滝にも打たれた。「無音の滝」で敢行した6分間の滝行は、顔をこわばらせながらも“無の境地”で「これからのことを考えるにはすごくいい環境だった」。頭を整理してからDeNA、ヤクルトへの断りの連絡を入れた。

「空腹の宇宙人」が進撃への態勢を整える。プロ入り8年間で2ケタ勝利は14年の11勝1度だけ。FA加入といえども、リーグ2連覇中の巨人ではチーム内競争が待ち受ける。ローテ入りが確約されているわけでもない。「1年でも長くとは思っていますが、現役として、そんなに先は長くない。でも、まだまだ成長できると思っている。まだ何も成し遂げていない。優勝、日本一に貢献できるように」とハングリー精神を強みに挑む。

交渉解禁日の6日に第3子次男が誕生。交渉翌日から断食と修行で身を清めた。新天地を決断し、あとは力強く前へと進むだけだ。「進撃の宇宙人」が巨人の背番号21に袖を通す。