斎藤佑樹が心境激白「考えてもしょうがないBOX」

ポーズを決める日本ハム斎藤(撮影・鈴木みどり)

右肘靱帯(じんたい)の断裂が明らかになった日本ハム斎藤佑樹投手(32)が、復活をかけた来季への熱意と覚悟を示した。インタビューに応じ、「プロ野球選手 斎藤佑樹」の現在地、ネットニュースの捉え方、球団やファンへの感謝の思いまで、本音を隠さず明かした。【取材・構成=田中彩友美】

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-現在は右肘靱帯(じんたい)の断裂でリハビリ中。これまでも長いリハビリ生活が多かった。大事にしていることは

斎藤 これが結構、重要なポイントで。自分の体に文句も言いたくなるし、言い訳もしたくなる。ただ、やっぱり、やるべきことと、どう考えても自分では出来ないことってあるじゃないですか。例えば「結果出せ!」と言われても、結果を出すために練習は出来ても、結果自体は相手もいることだし、自分ではどうしようもできないこと。だからここは、あまり意識しないようにしています。自分が出来ること、例えば毎日、インナーマッスルのトレーニングするとか。本当は、入団したときからしっかり決めていて。だからブレないように、自分のやるべきことをやらないといけないという考えで、やっています。いろんなことが頭をよぎることはあるんですけど、それは自分ではどうしようもないことだったりもします。このチームで野球をやりたくても、クビだと言われたら、僕ではどうしようもできないこと。だから、そういうことを考えていても意味がないので。だったら自分の出来ることに、ちゃんと集中して、力を注いだ方が頭の中はスッキリしますし、そういうことを考えながらやっています。

-再び投げるときのイメージを描きながら

斎藤 そこは頑張って、描くようにしていますね。次は絶対に1軍のマウンドで、札幌ドームで投げて活躍して勝っている映像っていうのは、やっぱり自分の中でイメージして練習に取り組んでいます。

-ネット上では、さまざまな意見が飛んでいる

斎藤 例えば、メンタルがすごい強い人って、耳には入ってこないと思うんですよ、僕のイメージでは。ただ僕はメンタルがめちゃくちゃ強いわけではないし、ただ切り替えを頑張ってうまくしようとしているだけ。耳には入ってきますし、それなりに自分を客観的に見るようにしている。いろんな声が入ってきますけど、ただそれは考えてもしょうがないこと。自分ではコントロール出来ないことなので。だから、自分がやらなくちゃいけないことをちゃんとやることが、ファイターズに対して果たさなくちゃいけない僕の責任だと思う。そこに言い訳は、あまりしたくないという感じですね。

-自身に関するニュースは、どう捉えているか

斎藤 ネットニュースは、あまり見ないんですよ。欲しい情報はiPhone(アイフォーン)の画面をスライドしたら出てくるトップニュースしか、僕は見ない。ただ、このトップニュースに出てきてしまうと目につく。そういうときは「あ、ヤベ。出ている」と閉じるようにしています。ただ見出しは見てしまうので、そこは致し方ないところですね。自分の本意とは違うところで、記事が出てしまうこともある。本当はこうじゃないのにと言いたいことも、今までもたくさんあった。でも、それは僕のコントロールできないところ。周りの人たちだけには、ちゃんと事実を伝える。必要以上に言い訳をすると、かっこ悪いじゃないですか。だからそれには異論を唱えず、自分がやらなくちゃいけないことを、やらないといけないなと思っています。

-プロ野球選手、斎藤佑樹を客観的に見て

斎藤 僕の場合は、本当に高校野球と大学野球がなかったら、確実に100%ここまでプレーできている存在ではなかった。ファイターズという球団が本当に信じてくれて、待ち望んでくれている、結果を。そういう意味では、来年で11年目ですけど、必死に頑張るしかないのかなと思います。客観的に見ても、立場として…普通ならあり得ない。成績も残せていなくて、こんなに新聞に取り上げてもらうことは普通はあり得ない。高校からの財産でもあると思うし、最後まで自分のやらなくちゃいけないこと、目の前にある野球に対して、真摯(しんし)に取り組まなきゃいけないと思いますね。

-現時点で、野球が終わったあとのことは

斎藤 考えたりしますね。頭によぎりますし。でも、3年くらい前かな。栗山監督に「終わった後は、みんなが助けてくれるから。野球を、好きなだけやりなさい。今しか野球は出来ない。オレは応援するから」と言ってもらった。そこから、確かに野球が出来るのは今しかないし、しかもプロ野球で出来るのは本当に今しかないと思いました。そういう意味では、あまり考えないようにして。たまによぎったりはしますけど“考えてもしょうがないBOX”に入れておいて、自分のやるべきことをやるように考えていますね。

-ファイターズでなければ、今はなかった

斎藤 そうですね、本当に。これは野球を辞めるときに話すことだと思いますけど、ファイターズというより、ファイターズの中にいる人が好きな人が多い。漠然とファイターズじゃなくて、ファイターズの中にいる人たちが、人として尊敬できる人たちが多い。そこに対して、ちゃんと義理を果たしたいという思いは強いですね。他の球団に行ったことがないから分からないですけど、野球選手に対してのリスペクトがすごく強かったり、プレーをしていて(球団に対して)言い訳はないですね。もっとこうだったらいいのにとか、もっとこうしてほしいとか、ほとんどないです。本当に環境に満足していますし、あとは自分がやるだけっていうことになりますね。

-リハビリ以外、グラウンドを離れての生活は

斎藤 プライベートがないんですよ。インスタグラムがすごい充実している人、ご飯を楽しんでいる人とか旅行を楽しんでいる人、それは、すごくいいなと思いますけど、僕はそういうタイプじゃない。やっぱり野球のこととか、動作解析、今は肘のこととかを勉強している時間がすごく楽しかったりするんです。今、病院で見てもらっている先生と話していることも楽しい。それはここ2、3年そうですね。自分の体が変化していく、分からないことが分かっていくことは、すごく楽しいことなので。「それがプライベートかよ」って思われるかもしれないですけど、僕はそういうタイプの人間です。

-1番の発見は

斎藤 治療と、現場のプレーヤーって、ちょっとかけ離れた場所にいがちじゃないですか。それは本来、同じことを共有しなくちゃいけない。ファイターズだったら、コーチとトレーナーが同じことを共有して練習に取り組んで、それがもっと世の中にいくと、お医者さんと選手と、その間にコーチングって言葉が出てきたり、メンタルも出てきたり、バイオメカニクスも出てきたりする。この辺が全部一緒にならないと、これからの野球選手、スポーツ選手は続けてうまくいかないと思う。最近すごく感じていて。いろんな人の話を聞く中で、これが全部、一体となっているようなことがあれば、日本のスポーツってもっともっと発展していくんだろうなと思います。

-ファンへの思い

斎藤 応援してくれる方がいないと、やっぱり。確実に原動力になりますし、応援してくれる方がいるからこそ、頑張ろうと思える。いなかったら、気持ちも折れています。さすがに。そこに関しての感謝は、とても大きいですね。