広島「新・代打の神様」松山竜平2点打 今季代打16の6「しっかり準備」

巨人対広島 5回表広島1死満塁、右中間に勝ち越し2点適時二塁打を放つ代打松山。投手畠(撮影・たえ見朱実)

<巨人11-8広島>◇29日◇東京ドーム

新・代打の神様襲名! 代打で出場した広島松山竜平外野手(35)が存在感を示した。1点を追う5回1死満塁のチャンスで登場。巨人畠から右中間を破る勝ち越しの2点打を記録した。今季代打率は3割7分5厘と勝負強さを発揮。逆転負けで勝利には届かなかったものの、チームで空白だった代打の切り札のポジションには、頼もしいベテランが待ちかまえる。

松山が与えられた役割を最高の形で全うした。2点を追う5回、1死満塁から野間の左前打で1点差に迫ると、場内に「代打松山」がコールされた。追い込まれてからの3球目、畠の内角直球をコンパクトスイングで右中間へはじき返した。2点適時二塁打で一時逆転に成功した。「外野フライでもどんな形でもいいので、とにかく1点という気持ちでいきました。最高の結果になりました」。二塁上で両手でガッツポーズを決め、喜びをかみしめた。

代打で勝負強さを発揮している。今季は出場全38試合中で、代打として17試合に出場。16打数6安打2打点、打率3割7分5厘と高い数字を残している。松山は「とにかく初球から振っていけるようにと思っていますし、ネクストを含めてしっかり準備しています」と代打の心得を明かした。

プロ14年目でも向上心は尽きない。現在取り組んでいる“阿部慎之助打法”で状態を上げつつある。交流戦期間中に、巨人阿部2軍監督の現役時代のフォーム、タイミングの取り方を参考に、実践を続けているという。松山は「とにかく最短距離で出せるように。阿部さんのようなタイミングで振っていけるようにと思っている」と説明した。

ここ数年チームでは空白のポジションだった「代打の切り札」に定着しつつある。昨季までは主に一塁で先発出場していたが、今季は外野で開幕スタメンを勝ち取るなど、出場範囲を増やした。しかし、度重なる故障や、若手野手の台頭などもあり、先発としての出場機会は減少傾向に。そんな中で、代打としてでこれまで培ってきた経験を生かし、結果を出している。

数少ないチャンスをものにするため、準備を怠らない。「今はこういう(代打の)役割。いいところで行くぞと言われているので、何とか結果で応えられるようにやっていきたいです」。広島の新・代打の神様として、勝負どころでの一振りに全力を注ぐ。【古財稜明】

 

■広島の過去の主な代打の切り札■

96年 町田  33打数15安打 4割5分5厘

03年 浅井  36打数14安打 3割8分9厘

08年 前田智 43打数16安打 3割7分2厘

14年 小窪  36打数14安打 3割8分9厘

20年 長野  25打数11安打 4割4分

21年 松山  16打数6安打  3割7分5厘(※6月29日現在)