侍のエース球宴2回完全 オリックス山本由伸28日五輪開幕戦の先発最有力

全パ対全セ 敢闘選手賞を受賞した全パ山本(左から2人目)を笑顔で囲む、左から杉本、1人おいて、宮城、吉田正(撮影・垰建太)

<マイナビオールスターゲーム:全パ4-5全セ>◇16日◇メットライフドーム

「マイナビオールスターゲーム2021」の第1戦で、全パのオリックス山本由伸投手(22)が東京五輪へ強烈なデモンストレーションを見せた。先発で2回を無安打無失点の完全投球。侍ジャパンでは開幕戦となる28日の1次リーグ・ドミニカ共和国戦(福島・あづま球場)の先発が最有力だ。大車輪の働きが期待される22歳の右腕にとって、夢の舞台で上々の試運転となった。

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お祭りムードの球宴でも、オリックス山本は平常心だった。自身3度目の球宴は初の先発マウンド。2回24球で無安打無失点に封じ、敢闘賞をゲット。最速154キロを計測し、全国の野球ファンから拍手を受けた。

「しっかり落ち着いて、いい力感で投げられた。(西武)森さんのリードに任せて、思い切り。毎年(本塁打を)打たれていたので、抑えられてよかった」

18年に筒香(当時DeNA)、19年は阪神原口と、過去2度の球宴では本塁打を浴びて失点。今回は内角攻めを封印しながら貫禄ある投球で、全セをねじ伏せた。

球界を代表するエースとなった22歳右腕は野望に突き進む。「みんなで勝つと、野球はもっと楽しい。究極は、みんなが活躍して勝つこと。1番になりたい。そのために一生懸命、僕は投げるだけ」。東京五輪でも、目指すは頂点のみだ。

侍ジャパンでは開幕戦となる28日の1次リーグ・ドミニカ共和国戦の先発が最有力。初戦を投げれば、メダル確定がかかる8月5日の準決勝に中7日で臨むことができる。敗者復活に回った場合でも、負けたら即敗退となる8月3、4日の試合に中5、6日で登板できる。先発候補だった巨人菅野の辞退で構想が練り直された「先手必勝ローテ」だが、今季リーグトップに並ぶ9勝、首位を快走する奪三振121と防御率1・82をマークする22歳は、重圧には負けない。

「これから緊張感のある試合が続きますが、コンディションを整えて、ベストパフォーマンスを出せるように準備して挑みたい」

この日のマウンドには真っ黒な“球宴グラブ”を新調。侍JAPANでは背番号の「17」と内側に「日の丸」が刻まれた赤ひもの黒色グラブを準備。派手さは不要。目立つのはマウンド度胸と剛球。フラッシュライトが、似合う男になる。【真柴健】