阪神「サイクル返し」で首位キープ! 主軸の奮起で13度目陥落危機脱す

阪神対DeNA 3回裏阪神1死三塁、左越え2点本塁打を放ちハッピーハンズをみせるサンズ(撮影・清水貴仁)

<阪神9-3DeNA>◇26日◇京セラドーム大阪

今年の虎は崖っぷちに強い! 阪神が投打がかみ合い、首位を守った。前夜はDeNA牧に新人初のサイクル安打を許したが、3回に3番ジェリー・サンズ外野手(33)の20号2ランなど1イニング打者4人による「サイクル返し」で勝ち越しに成功。13度目となった首位陥落危機もしのいだ。

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首位陥落の危機に、虎の主軸が奮起した。1点を勝ち越した直後の3回1死三塁。サンズがDeNA左腕坂本の初球スライダーを左翼席へ運んだ。昨年の19発を超える来日最多の20号2ラン。「(昨年を)超えられたことはうれしい。もっともっと打ちたい」。4番大山も中越えの三塁打で続いた。前夜にDeNA牧に新人初のサイクル安打を許したが、この回はガンケルの単打、近本の二塁打を合わせ、1イニング打者4人の「サイクル返し」。一挙4得点で勝ち越した。

首位陥落の状況で迎えた13度目の試合だったが、今年は底力が違う。今季3戦3敗と苦しめられていた坂本に対し、コーチやスコアラーが懸命に対策を練った。サンズは会心アーチを振り返る。「これまでスライダーやチェンジアップを駆使して抑えられていた。スライダーが来るのかな、という考えはあった」。前日には3回の反撃機に、サンズ、大山が連続で見逃し三振に倒れていたが、この反発力が強み。矢野監督は「北川(打撃)コーチがドキドキしながら試合前に緊張していた。何度もやられているところの意識を高めて、みんなで取り組んできてくれた。それが形になってよかった」と喜んだ。

下降気味だったクリーンアップに浮上の兆しが見られた。サンズは佐藤輝に続く20本塁打。阪神では10年のブラゼル、城島以来11年ぶりの20発コンビ誕生だ。4番大山は14本、2軍調整中のマルテは16本で20本以上カルテットが誕生すれば、85年日本一のバース、掛布、岡田、真弓以来36年ぶりとなる。

DeNAにカード勝ち越し、後半戦は4カード中3カード勝ち越しと着実に白星を重ねる。27日からは敵地マツダスタジアムで最下位広島と3連戦。サンズは「遠征でも勝ち続け、首位の座を守れるようにしっかりと戦っていきたい」とナインの思いを力強く代弁。2位巨人とは再び2ゲーム差に。宿敵の追い上げを受けても、崖っぷちの虎は粘りに粘る。【石橋隆雄】