楽天立花球団社長が届ける最高の1日「東北ろっけんまつり」への特別な思い

楽天立花球団社長(右から2人目)は法被を着用し、球団職員とともに「東北ろっけんまつり」をアピールする(球団提供)

杜(もり)の都で、わっしょいわっしょい! 楽天は本拠地楽天生命パークで、14日からのオリックス3連戦と18日からのソフトバンク3連戦で「東北ろっけんまつり」を開催する。コロナ禍で中止や規模縮小を余儀なくされた東北6県伝統の祭りを、一挙に集結させる。立花陽三球団社長(50)がインタビューに応じ、一大イベントをアピールした。

-「東北ろっけんまつり」の趣旨は

コロナ禍によって子どもたちも大人も、なかなか外出できない状態が続き、特に旅行や何か思い出に残るようなことを体験できていないと考えています。その中で東北といえば、各地にお祭りがある。今年は大きなお祭りができていない段階だと思いますので、宮城にいながら、皆さんに体験してほしいと、企画をスタートしました。

-各自治体の反応は

当然ながら「今の時期に」という声もありましたし、なかなかご賛同や今は難しい、という声はありました。ただ、人の移動はなくとも、物や動画を含めた提供にご賛同いただける自治体も多く、非常にご協力いただいています。将来的に実際に踊っていただいたり、10年、20年後に東北を代表するイベントになればと考えています。

-子どもたちへの思いは

この2年間くらい、もしかしたら思い出を作れていないと思います。イベントもほとんど中止になってしまいましたし、オリンピックもほとんど無観客。お祭りもかなり縮小されています。東北各地のお祭りだけでなく、金魚すくいやお面を買ってもらったり、射的なども楽しんでもらいたいです。レフトスタンドの後ろのスマイルグリコパークでは既存の砂場を拡張して、巨大な砂場を作ろうと思います。海にいけなかった子どもたちもたくさんいると思うので、そこで走り回ってもらったり、その周りに釣り堀を作ることも考えています。

-自身も幼少期の祭りの印象は残っているか

夏に近くの神社に行き、金魚すくいやお面を買ったりしました。赤いちょうちんがずらっと並んでいたり、太鼓の音など、五感に残る非日常の光景が今でも脳裏に残っています。そういうものを子どもたちは今、見られていない。スタジアムに入れば野球がやっている。外に出ればまた非日常が待っている。非日常空間を一日中、体感できるような舞台にしたいです。

-コロナ禍でもイベントに協力的な方々への思いは

しっかりと安全対策をとって、自治体の方とコミュニケーションをとらせていただいております。安心安全を絶対的に担保することは守り続けたいと思いますし、このようなお祭りを開催するに当たって強化したいと思います。宮城に転職で来た我々の社員でも、青森のねぶた祭や秋田の竿燈(かんとう)祭りを見たことがない人がいる。私はすべて参加させてもらったことがありますが、そういった方々に生で、現物を見てもらいたいなと思います。五感で感じてもらい、いい思い出になればいいなと思っています。

-これまで通り、感染対策は十分に行われている

ご理解をいただいているお客様が多いことを前提に、お声がけは多くさせていただいております。残念ながら、したがっていただけないお客様がいらっしゃった時はイエローカードを、時には退場させていただいております。緊急事態宣言が解除されている場合は最大1万人で準備を進めており、アルコールの提供も政府や県の指針に従って対応していきます。

-ファンへメッセージを

コロナ禍で楽しい思い出を作れなかった方々にぜひ非日常を味わってほしいと思います。安心安全は担保しつつ、この夏の最後の思い出に、このスタジアムで最高の、一生忘れられない思い出にしてほしいです。試合も勝って、その外での楽しみもあって、最高の1日をお届けできたらなと思います。

○…「東北ろっけんまつり」では、東北6県の名物祭りを体感できる。地元仙台の七夕まつりをはじめ、青森ねぶた祭、秋田竿灯(かんとう)まつり、山形花笠まつりなどの展示が行われ、特設コーナーではミニ金魚ねぶた作りやミニ竿灯作りも体験できる。さらに、選手のサイン入りグッズも手に入る射的やスーパーボールすくいなどの「えんにち」、左翼後方のスマイルグリコパークでは「ろっけんすなば」と題された巨大砂場も登場。各地産のブランド米、肉をテーマにしたグルメも堪能できる。立花球団社長は「伝統の継承に少しでもお役に立てれば。お祭り、文化などが発信できるスタジアムになるために、1つのきっかけになれば」と期待を込めた。