中日山井大介が引退「20年間、本当にありがとうございました」/一問一答

花束を手に会見場を後にする山井(撮影・森本幸一)

中日の山井大介投手(43)が7日、バンテリンドームで引退会見を行い、冒頭で「中日ドラゴンズ山井大介は本日をもって現役を引退します。特にファンの皆さんには感謝のことばしかありません。20年間、本当にありがとうございました」と報告した。主な一問一答は以下の通り。

-引退の決断は?

「9月23日にナゴヤ球場で球団代表に呼ばれて、今季限りでという話をしてもらった。どうするかは任せると言われたが、すぐに、ありがとうございました、とは言えなかった。と、いうのも翌日が先発の日。そこまではしっかりやろうと思っていた。もし万が一、自分の中で来年もどこかでという気持ちがあったりしたときには…最終戦は広島戦の由宇だったんですが、投げているときに何か力が沸いてくるのかなと思ったのですが、そういう気持ちにもならず、エンジンもかかってこず、1球1球を終わりかなと、かみしめながら投げてました。ある程度覚悟してやってきた。家族や両親に相談することもなく、自分で判断して、辞めますと球団に伝えました」

-家族、両親反応は

「ここ数年はチームにも貢献できず、思うようにもいかなかったところもありますし、家族の方は理解はしてくれていたと思う。両親もそんな感じで。20年もやらしてもらったから良かったと。そんな感じの会話になりました。わがままばかり言った20年間だった。自己チューの20年間だったと思います」

-今季は2軍で7勝とローテを守ったが

「開幕したときから1軍で投げるぞ、という気持ちでキャンプから過ごしてきたが、なかなかチャンスをもらうことができなかった、というよりも1軍の選手たちがしっかり結果を残していた。自分が入るところがなかったと…。ただ、1回のチャンスはいつか来ると思って投げてましたけど、20年目にしてプロの厳しさをまた改めて教わったというか、つらいこと、楽しいことばかりじゃないということを感じた1年でした。ただこの1年は自分にとって、しんどい1年でしたが、今後の僕の人生に必ず自分の財産になる1年だったと。ポジティブに考えようと思っています」

-今の思いを

「たくさんの人に支えていただいた。20年間、野球を始めてからいままで、たくさんの人にお世話になった。いろんな方々が携わってくれた。感謝の気持ちしかない。ありがたさを痛感しているところであります」

-どんな投手人生だった

「1年目からケガがあって1軍に上がれない。投げれば打たれる。記憶に残るピッチングもしたが、これが山井大介のピッチングだったと思います。山あり谷ありの人生に二重丸、花丸をあげたい。山井らしい生活を送れたと思います」

-印象に残る監督は

「全員です。この監督というより、6人の監督にお世話になったが、いろんなことを教えていただいた。優勝の経験も、Bクラスも経験して、この方とは決められない。入団したときの山田監督。優勝を経験させてくれた落合監督。情熱を教えてくれた高木監督。野球の厳しさを教えてくれた谷繁監督。人間味のある森監督、勝利にこだわる監督。いろんなたくさんの人にプロ野球を教えてもらったと思います」

-印象に残る試合は

「みなさんが思う1試合は日本シリーズ(の完全試合リレー)だと思いますが、思い出に残る試合はいっぱいあります。つらかった試合もいっぱいあります。これとは決められないが、プロ初登板ですね。2002年4月27日の広島カープ戦はプロに踏み出した第1歩なので忘れてはいけないと思います」

-やはり山井投手といえば07年の日本シリーズ第5戦。8回まで完全試合。岩瀬投手との完全リレーで日本一のゲームが印象深い

「プロに入ってから、ユニホームを着て満足することは一切ありませんでしたし、優勝することをいつも(目標に)やっていた。そこに向かってやってきたことがあの1試合になった。結果的に完全試合を岩瀬さんとリレーできた、と。そこには野手の方もいれば監督、コーチ、スタッフもいる。多くのファンのみなさんが背中を押してくれたことであの一瞬が訪れたと思う。あの瞬間を味わえた。忘れることができない、素晴らしい1日になった。プレーヤーとして最高の瞬間を味わわせてもらったと思う」

-改めてあのゲームを振り返って

「最多勝もとらせてもらいましたが、僕らしいというか…。長い間やらしてもらった割にはたいした数字を残してないと自分も思ってますし…。ファンのみなさんも『たまにはやるぞ、コイツは』みたいに思ってくれている、山井大介への印象が(あの試合に集約されているので)あれば、それはそれでうれしいと思います」

-今の中日に

「若い選手たちの力を改めて感じた。その選手たちにはもっともっと上を目指して、1軍の選手を脅かすようになって欲しい。仲良し小良(こよ)しでいるなよ、と。強いときのドラゴンズのようにもっと熱くなって欲しいな、とは思います」

-今後は

「この数年ファームで生活することが多かった。この経験、知識を無駄にしないように。今後はまだ決まってませんが、どのようなステージに立ってもこの経験を生かせるようにしたい。機会があれば、またユニホームを着て若い選手と汗を流したい、また指導者になりたいな、という気持ちはあります」

-最後に

「感謝。ありがとうございます。その一言しかないです。マウンドに行くのが怖いときもあった。マウンド上でファンの大きな声援が背中を押してくれて、頑張れよと、メッセージがたくさんあった。声援がなければここまでプレーできなかった。20年間プレーできたことには球団にもファンにも感謝しています。ありがとうございました」