東北福祉大・椋木蓮「1年目から活躍」三浦瑞樹「小3からの夢」プロへ思い

ドラフト指名を待つ東北福祉大・椋木(左)と三浦(撮影・佐藤究)

<プロ野球ドラフト候補に聞く(3)>

「運命の1日」がやってくる。11日のプロ野球ドラフト会議上位候補に成長した東北福祉大(宮城)の最速154キロ右腕・椋木蓮投手(4年=高川学園)は、ルーキーイヤーからの飛躍を誓い、早くもプロの舞台を見据えている。最速147キロ左腕・三浦瑞樹投手(4年=盛岡大付)もプロ志望届を提出。切磋琢磨(せっさたくま)してきた両投手がプロ入りへの思い、今の心境を明かした。

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ドラフトが2日後に迫っても椋木の表情はマウンド上と同じく、冷静そのものだった。「緊張は全然ないですね。(指名される)自信がないわけではないですけど、自分は考えるタイプでもない」と平常心を貫き、静かに吉報を待つ。

プロ入り後に目を向け、「ドラ1」のこだわりを捨てた。今春リーグ戦前には「ドラフト1位でプロに行きたい」と語っていたが、今はその感情は全くない。「良い順位で(プロに)行くことよりも、1年目から活躍したいと思っている」。その背景には、1学年上の先輩2人の存在があった。昨秋ドラフト2位指名のヤクルト山野太一投手(22)、同4位指名のヤクルト元山飛優内野手(22)の活躍は大きな刺激になっている。椋木は「普通にプロでやっているじゃないですか。(元山)飛優さんは1軍でも活躍していてすごくないですか。順位とかは関係ないって。1年目から活躍できた方がかっこいいなって思うようになった」と目を輝かせた。

大学球界を代表する投手に上り詰めた。最速154キロの直球に加え、勝負球のスライダーはキレ味鋭く、多彩な変化球を投げ分ける。1年春にリーグ戦デビューし、大学4年間で先発、中継ぎ、抑えを経験してきた。今秋リーグ戦では東北工大との開幕戦で先発し、5回を無安打。9奪三振もマークし、視察した11球団26人のスカウト陣をうならせた。「ストレートが一番良くなった。指先の感覚、伝え方がうまくなった」と、大学4年間の成長を実感している。

大学入学直後は無名だった。今夏甲子園に出場した高川学園(山口)出身。自身は高2夏に甲子園出場を果たしたが登板機会はなく、1度も全国の舞台に姿を見せることはなかった。「名前負けしてました」と明かす。チームメートには、17年夏の甲子園優勝投手の綱脇慧投手(4年=花咲徳栄)を筆頭に全国屈指の好投手が集まった。椋木は「名前にびびりますよね。同級生に甲子園優勝投手ですよ。最初(優勝投手の)綱脇? 綱脇? みたいな感じで、やばいですよ」と笑いながら当時を振り返った。

熾烈(しれつ)な争いは必至だったが、今やエースとしてチームをけん引する。「自分がずっとビリだと思ってやってきました」と言う。2年春には右肩関節唇の診断を受け、翌年2月まで投球すらできない時期もあった。負けず嫌いな性格で“雑草魂”を武器に挫折を乗り越えた。「けががあったから、今があると思います」。

早くもプロ入り後の目標を明確にしている。「100勝、100セーブを目指してやっていきたい」。不屈の右腕が、スター街道の道を突き進んでいく。【佐藤究】

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運命の「10・11」を前に三浦は率直な思いを口にした。「選ばれるか選ばれないか。緊張している。怖いという感覚ではないですけど、早く(ドラフト会議を)やってほしい」と不安と期待を胸に指名を待つ。

今春リーグ戦は4試合に登板し3勝0敗。20回を投げ無失点の好成績を残し、最優秀投手賞にも輝いた。それでも、共栄大(東京新大学)との全日本選手権では本来の投球ができず課題が残った。「追い込んでからの決め球が甘くなってしまったりと、修正することがたくさんあった」。キャッチボールから見直し、バランス感覚を意識しながら、1球1球を丁寧に投げ込んだ。「初心に戻って取り組んだことで状態は良いと思う」と原点回帰で精度を磨いた。

野球を始めた小学1年から投手一筋で、同3年の頃に大きな夢を抱いた。「プロ野球の試合をテレビで見て、自分もプロの舞台で投げたいなと思うようになって、ここまでやってきた」。14年の時を経て、プロの扉を開ける。