引退巨人大竹寛の肝っ玉伝説 重鎮集まる燦燦会で「マスオさんの声」

14年3月20日、燦燦会の激励会に出席した巨人ナイン。左から3人目が大竹

今季限りでの現役引退を表明した巨人大竹寛投手(38)が、24日のヤクルト戦で現役ラスト登板を終えた。サンタナの懐をえぐって、伝家の宝刀シュートでバットを粉砕する強気の投球を貫いた。

広島から巨人へFA移籍した14年。巨人を応援する財界人が中心となり、開幕直前のチームを激励する「燦燦(さんさん)会」でも、肝っ玉の強さを発揮した。重厚な空気の中で爆笑を取った名場面を振り返る。(2014年3月19日)

  ◇◇◇◇    

大竹に笑いの神が降臨した。球団、そして財界の大物がそろう燦燦会。エース内海の指名を受けて、急きょインタビューに登壇した。「ご紹介にあずかりました広島から移籍してきた大竹寛です」。丁寧すぎる自己紹介で来賓の心をくすぐる。巨人渡辺会長、長嶋終身名誉監督、経団連の御手洗名誉会長…。ある意味、バレンティン、ブランコよりも破壊力満点。日本経済を動かす強力ラインアップに笑いの投球術を展開した。

「開幕を前に気持ちが高ぶってきました」と素直な直球で様子を見ると、内海から「普段と違う」とカット。司会者が「普段の大竹さんは?」と相乗りすると、内海が厳粛なムードを察して「やめておきましょう」と空振りしようとした。だが大竹がシュートで上体を起こす。「もっとイジってもらった方が色が出るタイプ」と応戦。意を決した内海から「モノマネが得意です」と振られると「やるしかない流れですね」と前に出た。

「アニメ・サザエさんより。マスオさんの声」とものまね番組風に切り出すと「まいったな~」とマスオさんのごとく声をひっくり返した。一瞬の静寂。だがすぐに財界人たちの顔が笑顔に変わっていった。素朴に見える人柄からの絶妙なチェンジアップが決まった。

大竹は「例年あんな雰囲気じゃないんですか? 新加入なのに大丈夫かな~」と心配そうに会場を後にしようとすると「大竹さん、頑張って~」とホテルロビーにいた出席者から喝采を浴びた。