「村上監督」不動の4番Vヤクルト村上宗隆 打席以外でもリーダーの器量

DeNA対ヤクルト 3回表1死満塁、中越え適時二塁打を放ったサンタナを指さし雄たけびを上げる村上(撮影・足立雅史)

<DeNA1-5ヤクルト>◇26日◇横浜

グラウンドで年齢は関係ない。ヤクルト村上宗隆内野手(21)は、物おじせず、リーダーシップを発揮してきた。今季は不動の4番として、リーグトップタイの39本塁打。打撃でけん引しながら、ベンチでは誰よりも声を出してきた。きっかけはシーズン中に離脱した先輩のように振る舞ってきたこと。チームにとってのマイナスが、MVP候補の村上を大きく成長させることになった。

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村上は最後の打球を大事につかんだ。9回2死一、三塁、フルカウントで迎えた8球目が三塁ファウルゾーンに飛んだ。客席に入るかギリギリの打球も、目測を誤り、捕球できず。苦笑いを浮かべた。直後の9球目も再び三塁ファウルゾーンへ。投手マクガフもカバーに回ってきた中、ガッチリキャッチ。両手を天へ突き上げた。ウイニングボールを高津監督へ渡し、指揮官の右肩をポンッとたたいた。

SNS上ではたびたび「村上監督」という言葉が急上昇ワードとなる。ベンチの最前列で戦況を見守り、仲間が得点したときは、派手にガッツポーズ。何度も手をたたいて鼓舞するときもある。21歳とは思えない貫禄と、ベンチでの姿から指揮官に例えられてきた。

ピンチが成長を生んだ。開幕直後、チームで新型コロナウイルスの感染が判明。青木らが濃厚接触者と認定され、離脱した。戦う雰囲気をつくってくれたベテランがいない。村上は「青木さんだったらこういうことするかなとか、こう声かけするかなとか。そういうのをベンチの中で考えながらやっています」。精神的支柱がいないからこそ、一枚岩で。今の明るいベンチを生み出した。そんな村上の姿を見て、青木は「100点満点。みんな本当に一丸となっているように見えたし、すごくうれしかった」と目を細めていた。

今季村上は史上最年少の通算100本塁打、100打点を達成。MVPの最有力候補に挙がる。結果でチームを引っ張ってきた一方で、打席以外でも存在感を発揮してきた。熊本で生まれ育ち、東京で成長をして4年目。早くもチームリーダーとしての器量を見せた。【湯本勝大】