鳥谷敬の熱盛プレー「WBC台湾戦盗塁して同点 寝れなかった」引退会見2

引退会見でプロ野球人生の思い出を話すロッテ鳥谷(撮影・菅敏)

ロッテ鳥谷敬内野手(40)が3日、ZOZOマリンで引退会見を行った。一問一答は以下の通り。

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-18年間の中で心が熱くなった試合、熱盛のプレーは

熱盛…(笑い)。そうですね、シーズンというよりはWBCの台湾戦で盗塁して同点に追いついて勝った試合があるんですけど、今まで興奮してちょっと夜寝づらいとかはなかったんですけど、人生でその日だけ寝づらさというか、興奮してて寝られないなという経験をしたので、その1日はすごい思い出深いです。

-阪神での16年間で支えてくれた人、支えてくれたものは

当然一番近くにいる家族やいろいろな人に支えられたんですけど。阪神の時もロッテの時でも、ナイターの時は午前中にランニングしたりするんですけど、そういう時に球場でゴミを拾ってる人とか、グラウンド整備をしてる人とか、いろいろな人に、自分が見えてるだけじゃなくて見えてないところでもいろいろな人に支えてもらっているんだなというのを常に感じられたので、グラウンドに立つ以上、そういう人たちの思いも背負っていることは常に考えたので。自分の調子や感情だけでそこを逃げ出す、投げ出すことはできないのは常にあったので。いろいろな人の支えと、いろいろな人への感謝で(阪神での)16年間をできたんじゃないかと思います。

-鳥谷選手を慕う人も多い。どんなことを野球界に残せたか

いろいろな人の見方があるので、数字的なものなのか、人としてなのかそういうのは分からないですけど、少なからず一緒にやったチームメートに対しては、どんな状況でもベストを尽くしてやっていく姿は見てもらえたんじゃないかなと思いますし、それが自分の長くやれた秘けつでもあると思うので。相手の人たちがどう思っているかは分からないですけど、自分が唯一残せたものかなと思います。

-1~2年目は試合後に室内練習場へ毎日のように行っていた。どんな思いで

1年目は本当に夏くらいまではほとんど試合にも出られないですし、2年目は試合に出始めて、自分の足りないものはたくさん感じましたし。アマチュアの時は年間何十試合あればいい方の中で、(プロで)毎日試合がある生活の大変さを感じていたので、逆に(試合に)出始めの間にしっかり体力的な部分をつけてやっていかないといけないんだなというのはプロに入って感じていたので、その一環として毎日バッティングとかやることを自分で決めてやっていたので。先を見て、そういう思いで毎日やりました。

-今季エキシビションも含めて甲子園球場でヒットが多く出た。感じた部分は

慣れ親しんだという言葉がいいのか分からないですけど、自分自身もそのグラウンドで数多く試合をしてきて、そういう意味では打席の雰囲気だったり球場の雰囲気だったりというのは離れてみて逆に、そこはやりやすかったのかなというのは感じまして。

-ライトスタンドからも大歓声があったが

なかなか対戦相手チームから応援してもらえるということはないですし、ましてや最初に打った時なんかは相手のピンチの場面で声援してもらったので、そういう意味ではありがたいなという気持ちで打席に立ちました。

-人から見られる仕事。周りからどう見られていると感じていたか

どういうふうに見られてるというよりは、ロッテの時はそうでもないですけど、阪神にいる間というのは野球選手の鳥谷敬というのを一生懸命演じている、そういう感じだったので、私生活と野球選手は別物として考えてやっていたので、野球選手・鳥谷敬としてどう振る舞うかということを考えていたので。別物として生活していたので、あまりどういうふうに見られているかは考えなかったです。

-出続けることの意義を感じ始めたのは

出続けたいというよりかは、出続けないと自分がその場を奪われてしまうんじゃないかという気持ちの方が強いので。結果的には出続けたんですけど、出続けないと自分の立場を確立できないというふうに。やっぱり毎年新しい選手が入ってきて、打つことにたけた選手、守備にたけた選手、足にたけた選手、自分よりも能力を持っている選手が代わりに出るっていうことの恐怖の方があったので、出続けるしかなかったということです。

-その意識はプロに入ってからのことか?

当然プロに入ってからですね。そういう選手にチャンスがあれば、次の選択肢としてその選手というのが出てきてしまうので。自分自身がそんなに打撃がずばぬけてるわけでもないし、守備がずばぬけてるわけでもないし、足が速いわけでもないので、そのトータルで勝負していくということになった時に、ずばぬけたものを持っている選手と勝負したら勝てないことが出てくるので、そのチャンスを与えないために出続けるという選択をしたということです。