【復刻】新庄ワールド開演!ファン2000人殺到前代未聞“公開入団発表”

03年12月3日 「SHINJO」と書かれた背番号1のユニホームを披露する新庄

日本ハムの新監督に就任した新庄剛志氏(49)が今日4日、就任会見に臨む。06年に引退して以来の球界復帰で、いよいよ幕を開ける「新庄baseball」。果たしてどんなコメント、パフォーマンスが飛び出すか。03年に米メッツから日本ハム入りした際も数々のサプライズが繰り出された。当時の熱狂と“新庄劇場”を振り返る。(所属、年齢など当時)

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新庄剛志外野手(31=元メッツ)が3日、前代未聞の「公開入団発表」を行い、正式に日本ハム入りした。この日、札幌ドーム敷地内の球団事務所で正式契約。球場内で行った入団発表は非公開にもかかわらず2000人のファンが殺到、急きょ一般公開された。キャラクター通りの「爆笑会見」となった一方、野球、子どもたち、新天地への熱い思いも随所に披露。4年ぶりの日本球界復帰にかける、決意が表れた。

新庄の個性が発揮された「公開入団発表」で、全員のハートをつかんだ。その姿、ウイットに富んだトーク。会場に詰めかけた老若男女約2000人のファン、213人の報道陣らを「新庄ワールド」に引き込んだ。約30分間、与えたインパクトは十分だった。

この日、球団事務所で契約金4000万円、年俸8000万円プラス出来高5000万円(金額は推定)の2年契約を正式に交わした。その後、予定されていた札幌ドームでの会見には、非公開にもかかわらず人の波ができた。常時、無料入場可能な3階通路がいっぱいになった。球場側は、安全面などを考慮し、三塁側スタンドの一部を開放する緊急措置を取った。

本人の登場。拍手、歓声、悲鳴。場内のボルテージは沸点に達した。

新庄「今日、雪が降ると聞いていたので。雪が降らなくて本当に残念です」。

私服姿での会見。雪をイメージした? 白い革のジャケットを羽織り、その中には胸元を大きく開けて白いシャツを着用。ブルージーンズにブーツ。会見が異例なだけでなく「外見」も日本のプロ野球選手離れしていた。球団のイメージを一新してしまいそうな、強烈なスター性を示した。

洋服の合計金額を問われると「100万ペソ」(日本円に直すと主要国通貨のフィリピンで約213万円、メキシコで約1068万円)と、はぐらかした。ブランドを聞かれても「下がアシックスで上がデサント」と、野球用具メーカーの名を挙げた。一見すると爆笑会見だが、その中にすでに気持ちは「日本ハム新庄」として動きだしていることが表れた。

本音が、言葉のはしばしににじみ出た。「このスタンドをいっぱいにしたいというのが1番の夢です」。「野球一筋で頑張っていきたいと思います」。独り歩きするキャラクターを自制するように、口を突いて出る言葉は「野球選手」としてのものだった。

子どもたちへの思いも、同じ。初めてプロ球団が誕生する北海道の少年少女に向けて、一流の守備を見せるつもりだ。「バックスクリーン横(の席)から投手が投げる前のポジショニングや1歩目のスタートを見てほしい」。球団側はこの席を早くも「新庄チャイルドシート」として開放するプランの検討に入った。

新庄「これからはメジャーでもない。セ・リーグでもない。パ・リーグです!」

絶叫するように言った、この言葉がすべてを物語った。新庄なら新しい風を巻き起こすことも、決して不可能ではない。(2003年12月4日付日刊スポーツ紙面から)