TDK“三度目の正直”で全国1勝「選手時代からの初勝利」佐藤監督

TDK対西部ガス 勝利しスタンドに手を振って応えるTDKナインら(撮影・足立雅史)

<都市対抗野球:TDK5-4西部ガス>◇3日◇1回戦◇東京ドーム

2年連続出場のTDK(秋田・にかほ市)が西部ガス(福岡市)に5-4で逆転勝ち。13年以来8大会ぶりの初戦突破を果たした。4-4で迎えた7回1死一、三塁から1番北畠栞人外野手(25)が決勝の左犠飛をマーク。投げては7回から3番手で登板した鈴木大貴投手(25)が3回を1安打無失点の好投。毎回の5三振も奪い1点リードを守りきった。次戦は5日、8強入りを懸けてNTT東日本(東京都)と戦う。

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“三度目の正直”で遠ざかっていた「全国1勝」をつかんだ。1点リードの9回2死。最速154キロ右腕、鈴木が最後の打者を147キロ直球で空振り三振に仕留めた。前回大会8強の西部ガスを撃破し、2大会連続(20年都市対抗、21年日本選手権)で涙をのんだ初戦を白星で飾った。佐藤康典監督(51)にとっては全国初勝利だ。「選手時代からの初勝利です。そんなに、実感が湧かないですけど、やっと勝てたな」と喜びをかみしめた。

じわりじわりと追い上げ、最後は競り勝った。同点で迎えた7回1死一、三塁の場面。1番北畠が左打席に入った。カウント2-2からコツンと当てた打球は、左翼ファウルゾーンへの大飛球。これを左翼手が、フェンス手前でダイビングキャッチ。捕球を確認した三走の皆川普内野手(28)がホームに生還し、決勝点をもぎ取った。佐藤康監督は「(北畠を)1番信用している打者ですので、何とかしてくれると思っていた」と目を細めた。

つなぎのTDK打線だ。放った11安打中9本が単打だった。各打者が大振りを捨て、次打者へコツコツとつないでいった。3者凡退で終わった回は2イニングのみ。最大3点差にも粘りの打撃を徹底させ、逆転劇を演じた。ルーキーながら4度盗塁を刺し、1安打の鮮烈デビューを飾った奥村幸太捕手(23)は「1人で(ランナーを)かえす気持ちではなく、みんなでつないで積み重ねていくことを練習から意識している」と取り組んできた成果を発揮した。

チーム一丸で戦い抜く。指揮官は言う。「先発メンバーと控えメンバーに遜色はないと思っている。各自が役割を持ってくれているのが勝利につながった」。7回にはバッテリーを除く内野陣を全て入れ替えるなど全員野球を体現した。次戦は、17年度覇者のNTT東日本だ。みんなで勝利を目指していく。【佐藤究】