亜大13年以来の準決勝進出 生田監督の采配で相手先発攻略、主砲山下滉介1発/大学野球選手権

名城大対亜大 準決勝進出を決め笑顔でガッツポーズの亜大・青山(左)と山下(撮影・野上伸悟)

<全日本大学野球選手権:亜大6-3名城大>◇9日◇準々決勝◇神宮

亜大が13年以来の準決勝進出を果たした。

2-1で迎えた6回裏。先頭の山下滉介内野手(4年=岡山理大付)は「結果が出なくて暗い顔をしていた。監督に『悲しい顔をしていても結果は出ないぞ』と言われた」。顔を上げると、チームメートが声をかけてくれた。「スライダーだ、スライダーを狙え」。

その声に後押しされ、積極的に初球のスライダーを強振。打球は真っすぐセンターバックスクリーンへ吸い込まれ、同点のソロ本塁打。一塁を回ると大きくガッツポーズを見せた。

主砲の1発に続き、2連打と野選で満塁とすると、草部真秀捕手(3年)が押し出し死球で勝ち越した。

投げてはドラフト候補に挙がる最速150キロ右腕・エース青山美夏人投手(4年=横浜隼人)が7回からマウンドに上がると、キレのいい直球とフォークで3者連続三振。8回にはソロ本塁打を浴びるも、最後までリードを守り切り3回を投げ2安打6三振と好救援。先発だけでなく抑えとしても、頼れるエースを証明した。

生田采配がさえた。「相手先発の松本凌人投手(3年=神戸国際大付)の右打者に対してのシュート回転する球は打てない。ベースについて、アウトコースの球を狙う」と、徹底した。この対策が、前半だけで6四死球を奪った。生田監督は「とにかく松本君をどう攻略するか。早く100球を投げさせ、後半、疲れた時にどう攻略するかだった」と話す。その狙い通り、後半に入り、真っすぐが浮き始めると、狙い球をスライダーに絞り、逆転に成功した。

9年ぶりの準決勝進出に生田勉監督(55)は「無欲」と話したが、山下は「やる以上は勝ちたいです」と笑顔で話した。【保坂淑子】