佐々木朗希「足元見ながら」山本由伸「また経験したい」初対談でWBCへの思いなど語る

笑顔を見せながらリリースポーズを決めるロッテ佐々木朗(左)とオリックス山本(撮影・上田博志)

最強コンビが頂点へと競い合う! ロッテ佐々木朗希投手(20)とオリックス山本由伸投手(23)が、27日まで行われた「マイナビオールスターゲーム2022」の舞台裏で、日刊スポーツにツーショットを披露した。初対談で、WBCへの思いなどを語った。ペナントは29日、ロッテ-オリックスなど6試合で後半戦が開幕する。首位から5位まで2・5差に詰まる「戦国パ」。2人が優勝争いで投げ合う可能性も十分で、その共鳴が日本球界を盛り上げる。【取材・構成=金子真仁、真柴健】

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由伸 お疲れさまです!今日はろーたんに頑張ってもらいましょう!

ニックネームで呼ぶほど気心知れた3歳差の2人が、イスを並べて語るのは初めてのことになる。

朗希 緊張もそんなしてなかったですし、楽しみ!って部分がすごく大きかったです。

由伸 何しろ対談は初めてだったんで、すごく楽しみにしてましたね。

完全試合&ノーヒットノーランの、スター投手の共鳴。そろってオールスターの舞台に登場した。

朗希 みんなユニホームも違いますし、すごく、なんか新鮮で、はい、楽しかったです。

由伸 主役みたいな雰囲気が出てたよね。そこも負けてるなと。雰囲気がめっちゃすごい。

朗希 そんなことないです。緊張して、もう、こぢんまりやってました。

由伸 いや、僕は初めてのオールスターはめちゃめちゃ緊張してたんで。堂々と、慣れてる風格が出てましたね。そういえばオールスターでは練習中とか、何話してたっけ?

朗希 ??(と首をかしげて笑う)

由伸 内容のうっすい話をちょっと多めにしました(笑い)。

2人は人知れず確かな関係性を築いてきた。出会いは佐々木朗1年目のオフ。

由伸 本当にあの佐々木君や~って感じで。キャッチボール、最初にしたんですけど、すごく思い出に残ってますね。

朗希 テレビで見てる人だ~って。実際に投げてるボールを見たんですけど、もう、すごかったです。

この春、それぞれが球史に名を刻んだ。褒め合う言葉に熱がこもる。

由伸 やっぱり、あのストレートはなかなか。みんなはじき返せてなくて。ファウルに空振りに凡打に、そういうのがすごく確率高いんで、理想の投球だなと思っています。

朗希 全球種が勝負球になって、コントロールがすごく良くて、球も速くて。欠点が全然ないので、ピッチャーとして完璧だなと思います。すごいのに慣れちゃったのもあるんですけど…すごいじゃないですか。僕、まっすぐとフォークしか投げれないので。

由伸 なんか、いい選手の共通点って、みんな褒めてくれるみたいな。だからあまり真に受けず、練習頑張ります(笑い)。

後半戦が始まる。昨季優勝のオリックスが現在5位、昨季2位のロッテは現在4位。右腕両雄が戦国パ・リーグのキーマンになる可能性は十分にある。

由伸 僕が投げられる試合は限られているので、1試合1試合絶対に勝つぞという気持ちでチームの一員として頑張りたいです。

朗希 僕は前半戦の最後の方、投げられなかったので、後半戦は全試合投げるつもりで準備したいなと思います。

佐々木朗の右手中指の血マメがつぶれなければ、7月9日に投げ合いが実現する可能性があった。もちろん今後も。

由伸 可能性が最初あった時は、すごくドキッとしましたね。

朗希 いや、僕は勝ちが付かなくなるのでイヤです(笑い)

由伸 僕はとにかくゼロに抑えることに専念するしか。ワンチャンス、野手の先輩方に頑張っていただきたいなと(笑い)

ロッテ佐々木朗希と、オリックス山本由伸。2つの才能は、世界からも注目を浴びている。来春にはWBCが行われる。彼らは、参加意欲を示すエンゼルス大谷翔平とも戦いをともにするかもしれない。

由伸 東京五輪に出させてもらって。代表選手の中でやる1カ月くらい、あれはすごく自分にとって特別な経験になっているので、また経験したいなと。

朗希 僕も五輪、見ました。(由伸さんは)シーズン同様のすごい活躍で。

笑顔でのマウンドさばきも象徴的な活躍だった。

朗希 余裕の表れじゃないですか?(笑い)

由伸 (笑い)

朗希 僕はまずシーズンでしっかり投げきらないといけないと思うんで。足元を見ながら、その先にあると思うので。まずはこの後半戦、頑張っていきたいです。

オールスターの舞台裏で日の丸への思いなども口にした2人が、新たな戦いの日々へと引き締め、イスから立ち上がった。

由伸 そういえば。この間の、すごくいいものだな~って。すごくいいな~って思いました。

佐々木朗が先日、テレビ番組で大好きなシンガー・ソングライターあいみょんと対談したばかり。うらやましさをにじませた先輩。

由伸 でも僕は、いや、もう、佐々木選手との対談がベストです。これ以上はないです!!

朗希 (照れ)

<取材後記>

佐々木朗が発信者としても新たなステージに入ったと感じる。メディア側の勝手な理屈として“笑いがほしい”対談形式。それを察してか「こぢんまり」「余裕の現れ」「勝ちつかなくなるのでイヤ」と、164キロ右腕はちょくちょく緩急を差し込み、尊敬する先輩山本をも笑わせた。球宴第1戦でも「もっと変化球投げたかったんですけど、サイン出なくて。松川のせいで打たれました」と公共の電波にも相棒イジリを乗せていた。優等生タイプが多いといわれるロッテの若手たち。時にブラックも入る“角中節”がファンに根強い人気を誇る中、ロウキ節もますます増えるのか。敏感に拾いたい。【ロッテ担当=金子真仁】

◆佐々木朗と山本の今季 プロ3年目のロッテ佐々木朗は今季、自己最速を164キロに更新。4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)では完全試合を達成した。13者連続奪三振の日本新記録、1試合19奪三振の日本タイ記録も含んでの球史に残る投球だった。前半戦は6勝1敗だった。 プロ6年目のオリックス山本も今季、自己最速を159キロに更新。6月18日の西武戦(ベルーナドーム)で自身初のノーヒットノーランをマークした。前半戦はリーグトップの10勝を挙げ、128奪三振も佐々木朗を抜いてリーグ1位。