九州上陸の予想が出ている台風14号の進路に、ヤキモキしている元プロ野球選手がいる。ロッテ投手だった香月良仁さん（38）だ。「土曜は大丈夫。日曜も外れてくれればいいんですが」。17日（土）と18日（日）に、熊本市内で「熊本　福幸SPORTSフェス」を開催するからだ。

第2の故郷でのイベント開催を思い立ったのは今年4月。出張先から戻った熊本空港で「ONE PIECE（ワンピース）　熊本復興プロジェクト」のポスターを目にした。くまモンと肩を抱き合うルフィを見て「よし、俺はスポーツで復興プロジェクトをやろう」と決めた。最大震度7を記録した16年4月の熊本地震からの復興は、まだまだ途上。同年限りでロッテを退団し、社会人時代を過ごした熊本で第2の人生を歩んでいる香月さんは動きだした。

9月の連休であれば、市内の中心地「くまもと街なか広場」を借りられることを知った。会社経営のかたわら、手弁当でスタートした。「専門の会社じゃないとイベントなんて無理だよ」。そんな声は多かった。だが「地元を盛り上げたいと願う人が集まればできる」と信じ、突き進んだ。コンセプト作り、出演者との交渉、スポンサー集め。手探りしながら詰めていった。

2日間にわたるフェスは、香月さんの得意分野である“スポーツ”に“食”と“ステージ”を掛け合わせた。ベースボール5、パルクール、スラックライン、トランポリンなどの体験会に、プロ野球選手会と連携したキャッチボールクラシックも実施。兄の元巨人香月良太さん、ロッテ時代の同僚、内竜也さん、信楽晃史さん、さらに野球系ユーチューバー、トクサン＆ライパチも来場。ベースボール5のエキシビションマッチも行う。

食は、熊本をはじめ九州の食べ物をキッチンカーで提供する。

ステージは、熊本のパフォーマーや歌手を中心に声をかけた。秀岳館高校和太鼓部による演舞や、元ロッテのG・G・佐藤さんのトークショーもある。

香月さんの願いはこうだ。

「地方って、どうしてもスポーツを楽しむ機会が少ない。食とステージも用意することで、スポーツに興味がない人たちにも来てもらって、スポーツを楽しむきっかけになればいい。また、地方で活動している魅力ある方たちは、たくさんいる。ステージで、そういう方たちを知ってもらって、熊本の文化を発信する機会にしたい」

参加は無料（スポーツ体験会のみ一部有料）。収益の一部は熊本県に復興支援金として寄付する。準備は大詰め。あとは、ただただ台風がそれることを願っている。【古川真弥】

◆「熊本　福幸SPORTSフェス」の詳細は、同フェスのホームページまで（https://fukko-sports.com/)