サブスク「日刊スポーツ・プレミアム」スタート 巻頭言は「嫌われた監督」の作家、鈴木忠平氏

「日刊スポーツ・プレミアム」

日刊スポーツは、10月10日にサブスクリプションサービス「日刊スポーツ・プレミアム」を立ち上げました。長くお付き合いいただけることを願ってかけた、最初の「金鍵」。サイドストーリーを送ります。

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1年前の晩秋、日刊スポーツOBのノンフィクション作家、鈴木忠平さんと久しぶりに食事をした。

鈴木さんが中日の番記者だった8年間と時期を同じく、8年間、巨人を担当していた。

三軒茶屋の「床島」。火入れが確かな大ぶりの鶏はどんな酒にもよく合い、つかの間の再会をアシストした。

近況。落合、原の両監督がしのぎを削っていた「あのころ」の思い出。語るには時間が足りなかった。オープンキッチンの様子がやんわり閉店を教えてくれ、外に出ると東京の冷たい夜風が顔をついた。「酔いざましにちょうどいい」と国道246号には出ず裏手に入り、少し遠回りして駅までの帰りを歩くことにした。

プロ野球の担当をしていれば、いやが応でも3連戦の3日間は、球場で会える。互いに違う仕事をしている今はそうもいかず、特に鈴木さんは多忙となり、日程を合わせないと会えない。1歳違い、元同僚との名残惜しさが、歩を緩くさせた。鈴木さんが言った。

「スポーツを通して人間を書く文化、火を絶やしちゃいけない。今のままでは危ない。種火でいい。しっかり、次の世代につながないといけない。自分たちがそうだったように、若い人があこがれて、目指すような仕事じゃないと」

一点の曇りなく、志を追い求めている人。会社員として、配属先の仕事に追われている人。「懸命」と字にすれば同じでも、その下に張る根の深さと強さが、まるで違う気がした。

一方で、鈴木さんの言葉は、異動で野球の仕事から離れ不安めいた日々を過ごしていた自分に、覇気を与えてくれた。同時に、新たに携わる仕事の目的を、明確にしてくれた。

「日刊スポーツ・プレミアム」は、スポーツ、エンタメを伝える文化を守り、つなぐために開設する。現時点で最高峰の担い手である鈴木さんに、巻頭言を頼もう。彼は間違いなく、ふさわしい寄稿をしてくれる。受け手にしっかりと届けなくては。

三軒茶屋の改札に着いた。言下に情動を込め「また近いうちに」と別れた。【デジタル戦略室 宮下敬至】

◆鈴木忠平(すずき・ただひら)1977年(昭52)千葉県生まれ。名古屋外国語大学を卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。中日、阪神などプロ野球担当記者を16年間経験したのち退社し、文藝春秋Number編集部に所属。現在はフリーのノンフィクション作家として活動している。「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」(文藝春秋刊)でミズノスポーツライター賞、大宅壮一ノンフィクション賞、本田靖春ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞を受賞。最新刊に「虚空の人 清原和博を巡る旅」(文藝春秋刊)がある。

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