巨人原辰徳監督(64)の「勝負靴」は、「ブライトンの奇跡」が起きた英国で手にした一足だった。
20日のドラフト会議では、阪神と1位指名競合の末、高校通算68本塁打の高松商の浅野翔吾外野手(3年)を引き当てた。昨年まで、ドラフトのくじ引きはチーム11連敗中、自身も1勝11敗と苦杯を喫してきた。史上初の阪神との「GTくじ引き一騎打ち」を制した抽選後、指揮官は会場までの道順を変更し、靴、ネクタイ、スーツを新調して臨んでいたと明かしていた。
■15年ラグビーW杯決勝を英国で生観戦
歓喜の瞬間から一夜明けた21日、川崎市のジャイアンツ球場での秋季練習後、前夜の験担ぎの質問に笑顔で答えた。
「靴は、2015年にラグビーW杯があったあの時に買った靴があって。それをまだ1回も履いてなかったから。それをおろそうと思って」
英国・ブライトンで行われた15年のラグビーW杯、日本代表の初戦。優勝候補の南アフリカを撃破した歴史的大金星を挙げた同W杯の決勝を生観戦した。日本代表に勝負強さが宿った英国で購入していた「クロケット&ジョーンズ」の靴を履き、大勝負の舞台に立っていた。縁起のいい靴だけに来季は毎日履くことを提案されると「あの靴はね、大事な時に履くものかね(笑い)。ねえ。まあ毎日履くのは」と笑顔で首を振った。
■偶然ではなく、必然だと思っている
ネクタイは都内デパートで購入し、スーツもこれまで着ていなかった新しいものをおろしたもの。道順については「『いつもこっち側に行くのを、これをちょっとこの道に今日は』と。できることをやってみようと」と思い立っていつもと違う角を曲がり、ビクトリーロードを突き進んで浅野との運命をたぐり寄せた。この道は来年のドラフトも通るべきという声には「もう(競合抽選は)来年はないよ」と笑い飛ばしつつ「偶然という言葉というのはそうそうないということですね。やはり必然というのはあるのかなと思いますね」と、かみしめた。
■焦らず1歩1歩、大きな目標に向かっていこう
これほどまでして運命の糸をたぐり寄せた浅野には、これから大きな期待だけでなく、重圧もかかる。80年ドラフト1位でスターへの階段を駆け上がった原監督は「どういう道であっても上がっていく人は上がっていくから。望むところでしょ、彼だってね」とほほ笑んだ。「まだまだこれからどれだけ伸びるのか。あるいは現状の中で勝負をするとか。やっぱりもう少し大きな目標の中で、1歩1歩積み上げていってほしい、上っていってほしいなと思いますね」と、あらためてエールを送った。