ロッテなどで活躍した大嶺祐太投手(34)が27日、自身のSNSで現役引退を公表した。
第一印象は、なんだか怖そうな人-。実際は正反対どころか、とても温かく穏やかな人だ。コロナ禍に見舞われる直前の20年2月、故郷でもある石垣島で一度、縁あって夕暮れのひとときをともにした。
話したこと以上に、印象的な光景がある。食事後、丁寧にテーブルをふいていた。店員にテーブルふきの替えをもらってまで、油をふいていた。「ごちそうさまでした!」。笑顔でさわやかに店を出た。
幼少期は漁師の祖父と多くの時間を過ごした。「遠ければ船で1時間半くらいのところへ。西表島とか、川平湾とか。おじいちゃんは釣りというか、潜って網をしかけてとるのが専門だったので、仕掛けをするときは手伝って。魚が来るまで時間がかかるんで、泳いで遊んだりしてました」。ミーバイにグルクン。熱帯魚とともにのんびりと海を泳ぎながら、大きく朗らかに育っていった。
濃密な人間関係の石垣島で、相手を思う心も育まれた。ロッテ浦和球場では、丁寧に何十人ものファンにサインを続けた姿が、何度も目撃されている。右肘のトミー・ジョン手術をした際は「今後同じ手術をする人は増えてくると思うので、その人たちの希望に」と熱い言葉を口にした。穏やかな中にも芯があった。
苦楽あった千葉での15年間は、南海の離島から飛び込んできた若者にとって、かけがえのない時間だった。ロッテを退団し中日でチャンスをもらった昨冬。引っかかる思いがあった。
「ロッテでは本当に良くしてもらったのに、ファンの皆さんに何も御礼を伝えられていなくて」
あれから1年。SNSを通じてにはなったが、その思いをようやく発信できた。島を巣立ち、プロ野球選手人生を終え、次はどこへ。セカンドキャリアへ前向きに励んでいく。「またどこかで会いましょう」。スマイルマーク付きでファンに発信した。【ロッテ担当=金子真仁】