東大選手が新しい国産「ダケカンバ」バット使用「ハードメープルよりも芯に当たると飛ぶ」

ダケカンババットを使って練習を重ねてきた東大・別府(左)と和田(撮影・保坂恭子)

新しい国産の木製バットとなる「ダケカンバ」バットのモニター使用の結果報告が16日、都内の東大球場で行われた。

今年10月から、東大の梅林浩大内野手(3年=静岡)、別府洸太朗外野手(3年=東筑)、和田泰晟捕手(3年=海城)がモニター選手として、ダケカンバで作られたバットを練習で使用していた。この日も、ティーやフリー打撃で使用。快音を響かせ、チームメートからは「ナイスバッティング!」の声が飛んだ。普段はハードメープルのバットを使う別府は「ハードメープルよりも芯に当たると飛ぶ。柔らかくて、ボールを押す感覚がある。ちょうどいい感じで、自分は好きです。リーグ戦でも使いたい」と話した。

ダケカンバは落葉広葉樹で、北海道の森林蓄積量の約9%を占める。資源量が多く成長も早いため紙の原料となるチップに使われており、研究対象ではなかった。11年頃から研究が始まり、16年からバットの本格的な研究が行われた。強度、重さ、反発係数などの数値は、現在NPBに樹種として認められているメープルやアオダモの中間の特性を持っている。

将来的にはNPBでの使用を目指し、まずはアマ野球界から広げていく。すでに全日本野球協会(BFJ)の公認は得ており、アマ野球の公式戦で使用することは可能。

北海道立総合研究機構林産試験場専門研究員・秋津裕志氏(62)は「早い時期で商業ベースに乗せたいと思っている。1、2年をめどに考えている」とプランを明かした。京大大学院農学研究科の村田功二准教授(54)は「今まで実用性がないとされてきたダケカンバだったが、研究をしてバットの特性として評価できると分かった」と説明した。

今後の課題は、商業ベースでの安定供給ができるかと、バットの安全性の確立。最近は、コロナ禍や世界情勢から木材は高騰している。国産のバットを増やすことで、価格を抑えることも期待される。東大の大久保裕助監督は「活動資金が限られているので、道具は選手の個人負担。部費もあり、負担は多い。バットがリーズナブルになれば、選手の選択肢が増える」と歓迎した。