立大で初の女性主務・大河原すみれマネジャーがNPBに就職「侍ジャパンに関わる仕事をしたい」

22年度のマネジャーを務めた立大・大河原さん(左)と法大・宮本さん

東京6大学リーグの4年生の進路がほぼ出そろった。立大・大河原すみれマネジャー(4年=湘南白百合学園)は、同大では史上初の女性主務として1年を駆け抜けた。卒業後も野球に携わる仕事を志し、来年からは日本野球機構(NPB)に就職する。

小学校から高校まで女子校で育ち、大学からいきなり共学の野球界に飛び込んだ。神奈川で高校野球の指導者をする父の背中を見て育ち、生後3カ月から母に連れられて観戦へ。女子校に通いながらも「野球部のマネジャーになりたい」という思いを持ち続けた。立大合格後、両親には内緒でマネジャーに応募した行動力の持ち主。高校生の頃から「後悔しない方を選ぼう、と思っていました」。

仕事ぶりが認められ、2年夏には溝口智成監督(55)から「(4年時に)主務をやるつもりでいるように」と告げられた。その頃から、主力組となるAチームのオープン戦に帯同するなど修業がスタート。いきなり、先輩に指示を出す立場になった。主務は野球部を代表して初対面の人とも物おじせずに接しなければ、仕事にならない。人見知りだった性格は「克服できましたね」と朗らかに笑う。

1年間、6大学でともに主務を務めた5人は最高の仲間だ。今年は法大・宮本ことみマネジャー(4年=法政)と女性が2人。メーク道具を貸し借りするなど、助け合った。「この6人でよかった。顔を見るとほっとします」。卒業旅行も計画中だ。

主務になると報告した時に、同学年のチームメートが言ってくれた「一緒に頑張ろう」という言葉が忘れられない。ミスをしてへこんだ時、山田健太主将(4年=大阪桐蔭)は「初めてのことは、みんなできなくて当たり前」と励ましてくれた。友だち、仲間とも違う“同志”のような信頼関係があった。

10月20日のドラフト会議、楽天が荘司康誠投手(4年=新潟明訓)の1位指名を公言したことで、寮にテレビの密着取材が入った。その数日前、これまで一度も嫌な顔をしなかった山田から「断ることはできる?」と相談を受けた。見たことのない不安そうな顔。その思いに応えようと取材を折衝した。当日は2人並んでではなく、荘司はミーティングルームで、山田は寮の自室で、ドラフト会議を迎えた。荘司は競合の末に楽天1位、山田はまさかの指名漏れ。本人の気持ちは、顔を見なくても分かる。夜はいつも通り、スケジュール確認のメッセージをやりとりした。翌朝の全体練習前のミーティング。そこには普段通りの山田がいた。「すごいなぁと思いました。山田が主将だったから、今年のチームがあったと思います」。

野球への熱い思いは、マネジャー生活を経てさらに強くなった。2年間、新卒の採用がなかったNPBの募集要項を発見。すぐにエントリーした。難関をくぐり抜けて内定を得た。「ゆくゆくは、侍ジャパンに関わる仕事がしたい。野球界はまだ男性社会だと思うので、そこに挑戦したいです」。これからも力強く、道を切り開いていく。【保坂恭子】