<近本光司コラム:研鑽>
岡田阪神のリードオフマン、選手会長として18年ぶりのリーグ制覇を目指す近本光司外野手(28)のありのままの思考を、日刊スポーツでは「研鑽」と題して今季、コラムを随時掲載していくことになりました。第1回はコラム名でもある「研鑽」について。体操競技など新たな挑戦を続ける理由、読書から得るヒントに始まり、昨季最終戦での涙のワケ、目標の200安打、さらにはWBCへの思いまで語り尽くしました。【取材・構成=中野椋】
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日刊スポーツ読者の皆さん、明けましておめでとうございます。阪神タイガースの近本光司です。今季、このコラムを通して、僕のありのままの考えをお伝えさせてもらうことになりました。どうぞよろしくお願いします。
タイトルの「研鑽」には「徹底的に調べて明らかにすること」「磨き深めること」などの意味があります。「自己研さん」とか「研さんを積む」という言葉がありますよね。僕の中では、自分のできること、自分の良さをもっと磨くというイメージ。もっといえば、プロ野球選手ですが、バッティングとか盗塁を磨くというよりは、自分自身、「近本光司」を磨くという感覚を大切にしていきたいんです。「研鑽」について、そんなことを思います。
野球以外では、本を読むことが自分の中では、すごく大きいと思っています。多分、みなさんが思っている本はあんまり読んでいないかもしれないです。ビジネス本がもともと好きで、面白いやつは全部読まないと気が済みません。本を読むことで、すごい人に会わなくても話を聞けますし、欲しい情報がすぐに入ってきます。言葉が自分の体の一部になってくるような感覚が、本を読むことで身に付きます。
買ったけど「あ~、なんか違うな~」っていうのも多いです。でも、ハマらなかった時も糧になる。むしろ、それがけっこう大事なのかもしれません。例えば料理が好きだと思っていても、実際に料理教室に行ってみたら全然思っていたのと違うとか。音楽好きだな、と思ってもライブに行ったらなんか違うと思ったり。
僕自身のことで具体的なことを言うと、12月に行った体操教室がそうです。インスタグラムにもアップしたんですが、自分にはできないことがあるとあらためて実感しました。体操経験者の北條と行ったんですが、彼の動きを見て、すぐに体の使い方をマネしようと思っても、なかなかできませんでした。僕はそういう能力がなくて、1つ1つ細分化して意図したトレーニングを積み上げて成果につなげていくタイプだと確認することができました。
「こんなこともできへんねんな」と気づけたのは無駄じゃありません。むしろ「じゃあ俺はこういうふうにやっていかないといけない人間だった」と、また新しい自分になって変わることができます。それも「研鑽」じゃないでしょうか。だから、時間は使ったかもしれないけど、それを知ることができた自分は、ナンボかプラス。それってやらないと分からないですから。やったからこそ新しい自分が見つけられます。
自分の考え、バッティング、将来像、家族のこと…。全てに「研鑽」が当てはまります。引退後のことも、僕は野球だけじゃないと思っているし、野球が終わってからの人生の方が長いので。ということは「研鑽」は、人生そのものに当てはまると思っています。
数年後、このコラムを見返したいと思っています。「2023年の俺ってこんなこと考えていたんだな」「まだまだたいしたことなかったわ」と思える人になっていたい。そう思えるってことは絶対、成長しているってことだから。そんな「研鑽」を積んでいきたいです。その過程をお伝えすることで、読者の皆さまにも何かを感じ取っていただけたらと思っています。(阪神タイガース外野手)