【オリックス】プロ初登板の山下舜平大6回途中1失点堂々デビューも「最後まで投げきらないと」

西武対オリックス 6回裏西武1死、オリックス先発の山下は外崎(左)に中前打を許しがっくりとひざまずく(撮影・小沢裕)

<西武2-3オリックス>◇3月31日◇ベルーナドーム

プロ初登板で開幕投手を務めたオリックス山下舜平大投手(20)が、堂々のデビューを果たした。侍ジャパンの山川穂高内野手(31)らを擁する西武打線相手に、6回途中4安打1失点。この日最速157キロをマークし7三振を奪うなど、真っ向勝負を挑んだ。初勝利こそお預けとなったが、リーグ3連覇を目指すチームを勢いづけた。

一生に1度のプロ初マウンド。堂々の投球デビューにも、山下は一切満足していなかった。「今日は本当にチームが勝てたので、それが一番。途中で代わっていますし、最後まで先発として投げきらないといけない」。初登板で任された大役にも、萎縮した様子はない。1人の先発投手として、責任感を口にした。

あどけない顔つきで、えげつない球を放りこんだ。1番ペイトンに155キロの剛速球でファウルを奪うと、空振り三振でスタート。2死一塁で迎えた4番山川も、152キロ直球で左飛に打ち取った。6回1死で中前打を許して降板となったが、最後にこの日最速の157キロをマーク。初白星はつかめなくても、大きな可能性を感じさせるマウンドとなった。

ルーキーイヤーは2軍で2勝9敗。2年目の昨季は登板8試合にとどまった。「1年目はあまりパッとしないというか。でも自分がしないといけないことは、しっかりしたので今があると思います」。地道に体を作って出番を待ち、今季はオープン戦で好投を続けてアピール。「時間は少しかかったかもしれないけど、自分はあまり感じることもなく、来ていると思います」。190センチ、98キロに成長した右腕は言い切った。

中嶋監督からも「本当は勝ちをつけてあげたかったですけどね。(白星か)なんかつきゃ、文句なしやったけど」とねぎらいの言葉を送られた。「帰って映像を見て、課題を見つけて1個1個つぶしていけたら。やるしかないんで。強気で行くだけです」。マウンドを降りても、やる気に満ちあふれていた。【磯綾乃】

■恩師も「初登板に立ち会えてうれしい」

オリックス山下の恩師も晴れ姿を喜んだ。福岡大大濠高で指導した八木啓伸監督(45)が、ベルーナドームにかけつけ初登板を見届けた。「堂々たるピッチングで感動しました。彼のプロ初登板に立ち会えてうれしいです」。初勝利はならなかったが「今後も1歩1歩頑張ってほしいと思います」とさらなる成長を願った。

◆山下舜平大(やました・しゅんぺいた)2002年(平14)7月16日生まれ、福岡県出身。福岡大大濠では甲子園出場なし。20年ドラフト1位でオリックス入団。1軍登板なし。昨季はウエスタン・リーグで8試合2勝2敗、防御率3・31。名前の由来は20世紀前半の経済学者ヨーゼフ・シュンぺーター。190センチ、98キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸700万円。

▼オリックスの開幕戦が延長戦となったのは、19年3月29日の日本ハム戦に3-7で敗れて以来、4年ぶり。開幕戦の延長戦白星発進となると、前身の阪急時代77年4月2日の南海戦3-2以来、46年ぶり。この年は2シーズン制の前期優勝を経てプレーオフでパ・リーグを制し、75年からの連続日本一を3年に伸ばした。

■宗「角度がよかった」1発で決めた

宗が1発で勝利を決めた。同点に追いつき、先頭で迎えた延長10回。西武ティノコが内角高めに投じた157キロの直球を振り抜いた。「少し差し込まれたんですけど、角度がよかった」。右翼への決勝ソロに加えチームが苦戦した西武高橋からも安打を放ち2安打。「逆転で勝てた。でも初戦なので。あと142試合あるので切り替えていきたい」と頼もしく話した。

◆オリックス茶野(史上初となる育成ドラフトからの1年目開幕スタメンで、3回に初安打)「積極的にいこうと思っていた。とにかく安打という形になって良かった」