<ロッテ2-1日本ハム>◇5日◇ZOZOマリン
“世界の大海”は勝てなかったが、頼もしかった。WBC世界一メンバーの日本ハム伊藤大海投手(25)が5日、ロッテ2回戦(ZOZOマリン)で今季初先発し、5回3安打無失点と好投した。
打線の援護に恵まれず、今季初勝利はお預けとなったが、抜群の安定感を披露。5回には「サミングボール」こと超スローボールも投げてファンを魅了した。道産子右腕の力投が、今季初の3連敗を喫したチームに一筋の光明をもたらした。
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満を持して、伊藤は腕を振った。5回2死無走者、ロッテ角中への初球だった。投球は、ふわりと弧を描いた。趣味の釣り用語から命名した「サミングボール」こと超スローカーブ。スタンドから、どよめきが起きた。「初戦だし、今日はどこかで投げようと思って…」。選んだ場面は、この日最後の対戦相手。ボールとはなったが、2球目からはストライクゾーンで勝負して空振り三振。グラブをたたき、5回無失点で先発としての仕事を果たした。
緊張していた。試合前は、えずいた回数も「多めでした」。1回には投ゴロを捕球できず、尻もちをつきながら一塁送球して間一髪でアウトを奪った際に、勢い余って“テディベア”状態で座り込む場面も。WBCで修羅場をくぐってもシーズン初登板は独特のプレッシャーがあった。
試合前のルーティンも、うまくいかなかった。ZOZOマリンの食堂で用意されていない関西風うどんを食べるために、ウーバーイーツで注文しようとしたら「うどん、なかったです」と頼めずじまい。それでもマウンドに上がれば、堂々と投げ続けて「力みもあったけど、5回いけたのはヨシ」。走者を背負っても、要所を締め続けた。
長いシーズンも見据えて、5回は志願して投げた。中継ぎとして大活躍したWBCからチームに戻ってから、先発での登板は3月28日の2軍戦だけで球数も63球。この日は80球がメドだったが、力みから増えた球数は4回までに79球。建山投手コーチから「どうする? いくか?」と問われて「いっていいですか」と即答して続投。94球まで到達した。今季初勝利はお預けも、これで次戦は「球数制限もなくなると思う。少しでも長いイニング投げることを意識したい」と完全体で臨める見通しが立った。
実は5回に投げた超スローカーブは「プレーボールの初球、いこうと思ってたんですけど…怖いなと思って」と、思い切れない部分もあったが、すべての不安を振り払ったシーズン初マウンド。持ち味の大胆さも復活するはずの次回登板こそ、チームを勝利に導く。【木下大輔】
日本ハム新庄監督(5回無失点の伊藤に)「伊藤君、よかったね、安定感。今シーズンの伊藤君の開幕でしたから、勝たせてあげたかったけどね。次!」