<寺尾で候>
日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。
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米エール大学名誉教授(文化人類学)のウィリアム・ケリーと再会を果たした。4年ぶりの来日で「あなたに会うから抗体検査を受けてきた」と礼儀を尽くされてマスク越しのディナーになった。
「うちの大学でもマスクの着脱はまだ半々ですね。でも特別でない限りはリモートの授業はしない。こちらは学生の表情を見ながら反応を知ることもあるから、リモートはダメです。取材も同じでしょ?」
米国で発刊のNYタイムズ、ワシントン・ポスト、ジャパンタイムズ、ボストングローブ、英国のガーディアンの5紙を1日に購読。「特にNYタイムズは経営戦略が成功した」との解説にしばし聞き入る。
日本人以上に東洋の“和”の美意識を大事にする阪神ファン。ロバート・ホワイティングの名著『菊とバット』以来の外国人著者として、本格的な日本プロ野球論『虎とバット』を出版してもいる。
今回のWBC大会には「時差の関係であまり放送されなかったが、大会として注目度が高まってきているのは確かです」と徐々に浸透してきたことを認めながら課題も口にする。
「大会運営の面では未成熟です。サッカーのW杯とはアソシエーションが違う。今のままではどこまでいっても、WBCはアメリカのため、MLBのイベントでしかない。サッカーをFIFAが仕切っているように、WBCも組織の再編が必要だろう」
WBC大会の主催者はMLBとMLB選手会。ケリーは「野球にはFIFAのような団体がない」と問題点を指摘し、“真のWシリーズ”と位置づけるには時間がかかると言いたげだった。
米国北東部のコネティカット州ニューヘブンに暮らし、ボストンと電車でつながっているレッドソックスの大ファン。「今年はあまり強くないが、弱くもない」と予想する。
オリックスから移籍したレッドソックス吉田正尚の5年総額9000万ドル(約122億3300万円)を投資した大型契約には「はるかに予想を上回った」と大盤振る舞いを苦笑した。
「レッドソックスは3人のオーナーの共同経営で、その1人はリバプール(英プレミアリーグ)のオーナーでもある。お金持ちだから問題はない。これまでも日本人を受け入れてきたから日本人慣れしている」
右太ももの違和感から復帰した吉田には、出身地の福井新聞が初めて大リーグ取材に特派員を派遣して特集記事を組むなど、地域を盛り上げている。
「性格も明るいし、チームの環境に溶け込めばリーダーになる可能性だってある。ケミストリーを起こすかもしれないよ」
日本プロ野球の空洞化を懸念しつつ、サムライたちの動向に注目したい。(敬称略)