<巨人2-1阪神>◇30日◇東京ドーム
宿敵のYGマークに若虎の心が静かに燃えた。阪神前川右京外野手(20)が初の伝統の一戦でマルチ安打を放った。5回2死の3打席目。相手先発戸郷に2球で追い込まれた3球目。外角低めに沈む133キロフォークを捉えた。打線が苦しめられてきた勝負球に対し、体の開きを抑えながら左翼前へ運んだ。
「インコースの真っすぐが来るかなと思ってたんですけど。うまく運べたので、良かったかなと思います」
このヒットで自己最長の6試合連続安打。7回にも右前打を放ち、今季6度目のマルチ安打も記録した。結果を残し続ける20歳。巨人戦での初ヒットにも、塁上では淡々とベンチへ手を掲げた。
岡田監督も「ちゃんと振ってるということやろ、強引にいかんとな、外のボールを逆らわんと」と評価する打撃。だが初見で相対した巨人主戦格の戸郷の変化球は「ヤバイなと思った」と振り返る、想像以上のキレ、落差だったという。
1打席目はカウント2-2から落ちる変化球に対し、二ゴロで凡退。全て変化球で打ち取られた。「ボールを見る間を長くするっていうか、しっかり、高低自分で目つけしてやっていこうって、2打席目から行きました」。四球で出塁した2打席目を挟み、3打席目以降は見事に修正。3打席目はフォーク、4打席目は直球を捉え、いずれも追い込まれてからの3球目を捉えた。22年最多奪三振右腕でも、快音は止まらなかった。
交流戦から1軍に招集され、6月6日楽天戦(楽天モバイルパーク)でプロ初安打をマーク。6月月間成績は打率3割5分8厘、出塁率は4割3分3厘と堂々の数字だ。前日6月29日の中日戦(甲子園)では、左腕松葉相手にも先発起用され安打を放つなど、日に日に存在感が高まる。「しっかり気持ちを切り替えて、もう1回頑張りたいなと思います」。若きスラッガーの勢いは、7月も止まらない。【波部俊之介】