新たな“伝統の一戦”は意味ある一戦に 女子野球のプロ化へ模索続く/寺尾で候

阪神タイガースWomen対読売ジャイアンツ女子チーム 試合前に記念撮影する両チーム

<寺尾で候>

日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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女子野球がにわかに注目されている。7月22日に甲子園で行われた女子硬式野球「阪神タイガースWomen対読売ジャイアンツ女子」もその表れだ。29日は東京ドームで再戦。新たな“伝統の一戦”と銘打ったイベントは3431人のファンを集めた。

見慣れた超満員の熱気とはかけ離れたが、「TG戦・女子編」の雰囲気は漂った。応援団が旗を振って号令をかけ、観客も声を上げながら手拍子をした。7イニング制で4回表裏の攻撃前に「闘魂こめて」「六甲おろし」も流れた。

巨人女子が5対0で完封勝ち。ナインがバックスクリーンをバックに記念撮影する微笑ましい光景もあった。日本女子野球連盟会長・山田博子は記念すべき一戦を総括した。

「未来に向けて意味のある一戦でした。老若男女のファンが楽しんでいた。両チームのトランペットによる応援、歓声を聞いて鳥肌が立ちました。ここからどのような女子野球のドラマが生まれるのかと思うとわくわくします」

21年に健康食品会社「わかさ生活」(京都市)が運営した日本女子プロ野球リーグが無期限休止、事実上の消滅に至った。現在NPB(日本野球機構)から西武、阪神、巨人3球団が女子硬式野球チームを発足させている。

小・中学生をはじめ、女子の野球人口は増加している。7月22日から兵庫県丹波市、淡路市で第27回全国高等学校女子硬式野球選手権大会が58チームが参加して開催され、8月1日に甲子園で決勝戦が行われる。

問題は今後いかに女子野球を発展させていくか。目標は「プロ・リーグ」誕生。NPBには女子野球チーム設立を検討する球団もあれば、逆に消極的な球団もあって、12球団が足並みをそろえて傘下にする可能性は低い。

現時点でプロ・リーグの「枠組み」は定まっていない。ただ「野球人口の裾野を広げる」といった理念をうたうなら、NPBの協力態勢は必要不可欠だ。1試合平均1万人の集客を目指す山田は「なにが理想なのか模索しています」と打ち明ける。

「連盟など一部で理想と夢は決められないと思うんです。現場、子供たちの声を聞きたいし、何を求めているのか、何をしてあげられるのか、何が時代にマッチするのか、まだパズルがはまらない。他競技の女子リーグの動きも見たいと思っています」

女子野球に興味をもつ企業の参入も視野に入れる。事業として成立させるビジネスモデルは、WNBA(ウィメンズ・ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)、米国サッカー連盟の成功例も参考にしている。

9月開催のW杯で、7連覇を狙う女子野球日本代表“マドンナジャパン”の戦いも契機になるかもしれない。女子野球のプロ化へのストーリーは興味深い。(敬称略)