<オリックス5-1西武>◇22日◇ベルーナドーム
西武の西川愛也外野手(24)がプロ6年目、通算100打席目で、念願のプロ初本塁打を放った。
「今でも手に感触が残っていますが、気持ちよかったです」
試合には敗れたものの、自身にとっては記念の一打になった。たまたま100打席目。たまたま夏の甲子園の決勝前日。花咲徳栄(埼玉)で全国優勝を果たしてから6年がたつ。
「過去のことなので」
栄光は昔の話。全国優勝の冠をあっさり捨て、プロ野球でもがいた。あえて高校時代を思い出してもらうと「怒られたことのほうが覚えてますよ」と言う。
高1当時、いずれ自身の手で歓喜の胴上げすることになる岩井隆監督と、いま西武でも先輩になった愛斗とのエピソードがある。
「入学して、体細かったんです。愛斗さんがその時、夜食を毎日食べてて身体が大きくなって体重増えてて。僕も岩井先生の部屋に夜食食べに来いって言われて。それで1日だけ、行かなかったんです。本当に1日だけ。そしたら、次の日に岩井先生に呼ばれてめちゃくちゃ怒られて。お前プロ行く気ないんか! みたいな」
そんな懐かしい頃があって、今がある。高校時代を最盛期にはできない。
「やっぱ、打つことですね。打たない限り、出続けられないんで」
8月下旬になっても定まりきっていない、西武のセンターのポジション。「僕、のど小さくて」。高校時代も、この春の自主トレでも。疲れ果ててしんどくてもかきこみ続けた、あの日々を血肉に。バットで居場所をつかむ。【金子真仁】