【西武】ニュースを遮断する山川穂高は非難ごうごうの世論を直視した「目をそらすんじゃなくて」

報道陣の前で現在の思いを話す西武山川(撮影・河田真司)

西武山川穂高内野手(31)が5日、自らの不祥事を謝罪した。5月に発覚し、すでに不起訴処分が出た強制性交疑惑に1つのけじめをつけ、頭を下げた。

9日からのフェニックスリーグ(宮崎)で実戦復帰し、焦点は「その先」へ移る。故障者特例措置の適用で、今オフに国内FA(フリーエージェント)権を取得する見込み。この5カ月、多くの声と静かに向き合った大砲は、どんな結論を出すか。必死で実戦に取り組みながら、答えを煮詰める。

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張り詰める目鼻周りを、不意に緩まぬよう律した。自ら望んだとはいえ、大人でも感情制御が難しい場はある。山川は弱さを隠しつつ、ただただ誠実に「心からおわびしたいと思います。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪した。

原因を「私の至らなさ」と言った。己の職業を「人に期待され、応援してもらって初めて成り立つ」と考える。それを踏まえれば相手への敬意も品格も、想像力もない行動だった。

体も声も大きく、実績もある。器は大きく、後輩たちも集まる。我流を貫ける存在になった。芯がぶれないよう、あえて自分の世界だけを見た。遮断-。3月の開幕前に話した。

「僕はシーズン中、ネットニュースを消すんですよ。だから皆さんが一生懸命書いてくれた記事も読んでないんですよ。そこはごめんなさいです」

そんな山川が発覚以降、これまでにない規模の報道にさらされた。非難だらけの膨大な世論にも、目をつぶっていたのか。

「見られる範囲で全部見てました。厳しい声のほうが多かったと思います。それでも僕のしてしまったことなので。そこから目をそらすのではなくて、自分の目で全部見て、受け止めて反省して、これからの取り組みにつなげていくしか」

現役引退の選択肢も「正直…ありました」と、また少し顔がひきつる。恩師や妻の「まだやめるな」で踏みとどまった。「野球で取り返すしか方法が見つからない」。決して美談ではない。人を傷つけ、人にわび、人に非難され、世を知り、励まされることもあり、それでも許しをこえる立場にはなく-。

そんな5カ月間を経て、打席に立つ。単年契約も終わる。器用に隠せるタイプではない。不祥事の有無にかかわらず、FA権行使の現実性は球団内外の多くが以前から悟っている。この日も「チームとライオンズファン、スポンサーの皆さんに、とにかく大きな迷惑をかけています」と神妙になりながらも“残留”への気持ちを明確に発信することは、まだなかった。

本来ならば、通算218本塁打で高知名度の4番打者を他球団は放っておかない。地に落ちた今、西武山川でやり直すと願うのか、それとも。秋のうちに決断の時が訪れる。

「松井監督とまだ会って直接謝罪ができてないので、そういう謝罪をしてから、そこからの意見も全て含めて考えていかなければいけないと思っています」

マイウエ-の貫徹か。人と向き合い、何かを絞り出そうとするか。たとえ苦しくとも、その姿を社会が見ている。【金子真仁】

<経緯> 今年5月11日に「文春オンライン」が性的暴行疑惑を報道したのが発端だった。昨年11月に都内のホテルで知人女性を暴行したとの内容で、11日は試合出場した山川だったが、翌12日には「総合的に判断してコンディション調整」との理由で、出場選手登録を抹消に。同23日には警視庁麻布署が強制性交容疑で書類送検し、約3カ月を経た8月29日に嫌疑不十分による不起訴処分が決定した。

山川は登録抹消以後、3軍で練習のみを行った。不起訴決定を受け、球団は9月4日、1軍ならびに2軍の公式戦無期限出場停止の処分を発表。3軍戦とフェニックスリーグは処分対象外とした。昨季は本塁打と打点でリーグ2冠に輝いたものの、今季は17試合出場で0本塁打5打点の成績だった。

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