【日本ハム】松本剛「ガッと勝ったらガッと負ける。そこ」巻き返しへ激熱5000字超え今季総括

9月28日 日本ハム対ロッテ ホーム最終戦セレモニーであいさつする松本剛選手会長

日本ハム松本剛外野手(30)が選手会長として臨んだ初めてのシーズンを総括した。一問一答は以下の通り。

-今季を振り返って

松本剛 見ての通り、チームとしては苦しい成績(2年連続最下位)になりましたし、個人としても納得のいく成績を残せなかったというのが事実ですね。

-7月には4位に浮上し、3位にも肉薄したが、その後の13連敗で順位を下げた

松本剛 僕もやっている選手なんで、あんまり偉そうなことは言えないですけど、ガッといって勝ったと思ったら、ガッと負けるじゃないですか。そこだと思うんですよね、やっぱり。強いチームは連敗がないので。それはなんでかなって僕自身も考えるシーズンだった。正解がなかなか見えてこないっていうのが事実ですし、選手として、そこを考えるべきか考えないべきかっていうのは、すごく葛藤した1年だった。でも、そこは監督がどうしたら勝てるのかというのは常々考えてやっていることだと思いますし、ただその思いを選手がどう思っているかっていうのは大事なのかな。監督が勝てるために策を打っていくなかで、選手が本当にその策に乗っかれたのかっていうのは、スタメン一つ取っても打順を変えた意図であったり、ポジションを変えた意図っていうのを選手個人個人が感じて試合に臨んでいたのか、それとも漠然とゲームをやっていたかというのは大きな違いだと思いますし。僕自身も、なんでこうなのかなって毎回考えるようにはしていたんですけど、そこを個人的にもそうですし、チームみんなが考える。まあ、監督の意図をくみ取るっていうのは難しいかもしれないですけど、そういうところが大事なのかなっていう風にすごく感じましたね。やっぱり連敗が多くなっちゃうというのは「若い選手が多い」「経験値が少ない」と言われちゃったら、もうそれまでなんですけど、逆を言えば、それを経験として生かせたかなというのは、どうなんだろうっていうシーズンでもあったのかな。それを経験できたのは事実なので、今年。来年、同じようになった時にどういう打開策が選手の中で出るのか。選手間では何とかしようという声はずっと出ていましたし。それでも、何ともできなかった時期っていうのが長くて。だから、すごい難しいですね。野球って難しいなって、あらためて思いましたね。でも、勝てる時はバッと勝てるので。

-トントンと勝てる時期もあった

松本剛 でも、接戦を落としているじゃないですか。本当に悔しい試合が多かったので。その接戦を落とすというのはミス。見えないミス含めて結局、ミスなんですよね、やっぱり。で、谷内さんに、いい言葉を言われたんですけど、「ミスをした方が負けるんじゃないよ」と。「ミスをカバーできなかったチームが負けるんだ」っていうのを。確かに、そうだなと思って。野球って9人でやっているんで、誰かが絶対ミスをするじゃないですか。バントミスしたとか。で、バントミスしたら誰かがカバーしたら、そのミスは帳消しになる。守備でミスをしても、それが点に絡まなければ、そのミスは帳消しになるスポーツなので。そのミスがカバーできなかった試合が多かったかなと、すごく思いますね。

-選手会長として、負ければ責任を感じていたと思うが、13連敗の時は特にそう思った?

松本剛 そうですね。勝てないもどかしさというのは今年一番感じましたし。去年は勝たないでいい、勝たなくていいって始まったシーズン。やっぱり今年は勝つことだけにこだわってやるって始まったシーズンだったので。勝てない悔しさは、すごく思いましたし、どうやったら勝てるんだろうってすごい悩んだんですけど。僕ら選手ができることは最高のパフォーマンスをすること。今自分が出せる100%の力を出すこと。それしかないので。そこはやっぱり、そこに重きを置いて。チームが勝つためにということを考えるよりも、まずは自分のパフォーマンスを出す。それも大事だなというのは、すごく年間通して感じたシーズンでしたね。

-若手選手は勝たないとと思いすぎて逆にミスが増えているようにも見えた

松本剛 さっきの話じゃないですが、ミスしたら落ち込むじゃないですか。落ち込まなくて、いいんですよ。ミスは絶対カバーできるんで。試合の中でも。1カードは2勝1敗でいい。1試合ミスしても、2試合でカバーすればいい。1週間あれば、6試合ある。長く見られていない。1回の走塁のミス、1回の守備のミスをチームとして引きずっていた。「あのミスで負けたわ」と僕も思うことはある。僕のミスもそうだが、それをカバーできるチャンスはその試合の中にも翌日の試合にもある。それを見いだせていなかった。

-そういった若手が多いチームを姿や言動で引っ張る役割は果たせた?

松本剛 果たせたかというと、果たせてないのが事実だと思います。僕が引っ張っていかないといけない立場だと自分自身でも分かっていた。周りも、そう思って期待してくれていた部分だと思う。そこに関しては応えることができなかったのが、1年間通しての成績だと思う。そこは真摯(しんし)に受け止めたい。来季も立場が変わるわけではない。若い選手が多くいるのも事実。もちろん成績で引っ張るのが一番。その中でも、ある程度経験を積んで悩んでいる選手もいる。少しでもいい声かけができれば。その思いで今年もやっていたけど、それがいい方向に働いているのか、僕には分からない。結局、チームは勝てなかったので。そこは受け止めて、来季はチームをいい方向に引っ張りたい。

-個人成績では首位打者を獲得した昨季の打率3割4分7厘から今季は打率2割7分6厘だった

松本剛 やっぱり目標としていた数字には届かなかったですし、1年間通してコンディショニングを含め、なかなか思うようにいかない日々が多かったというのは正直なところですし。ただ、プラスに考えると、唯一今年はケガなく最後まで戦うことができたというところは僕自身よかったところだと思います。去年すごくいいシーズンを過ごした後の今年、自分としてもそんなうまくいかないだろうというのはシーズン前から予想はしていたので、その中で苦しくなる時期というのは必ずあると思いながらやっていて、そこが自分の思っている以上に長かったというか、そういう時期が長かったなというのは正直ありますけど。それもすごく、今考えると、いい経験になったなとは思っていますね。

-手応えを感じた部分は

松本剛 本当、僕らの場合は数字で測られてしまうので、数字的な部分で言うと、自分が思っている以上に打率に関しては、数字は出ているのかなと。その感覚的な部分では、もう少し打てていないイメージはすごくあるんですけど。そこに関しては思ったより…まあ言い方は難しいんですけど、粘れているのかなとか思う部分が少しはあるかなと。まあ少しなんですけど。

-「思っている以上に打率に関しては、数字は出ているのかな」の真意は?

松本剛 感覚的には、もっと打てていないイメージ。もっと打てていないと思っているが、意外に打てている。プラスに捉えているのかも(笑い)。

-昨季の実績が支えになっている部分もある?

松本剛 それは大きい。自信になっているのは事実。自分に優しい言葉をかけてあげられるなら「俺なりに頑張っている」。ただ、3割を打たないと自分みたいな選手は価値がない。それは自分が一番わかっている。長打を打てるわけでないし、3割を打たなければ、レギュラーで出る資格はないとすごく感じている。来季は必ずその数字に持っていく。

-新球場元年。エスコンフィールドでプレーできたことについて

松本剛 本当に素晴らしい球場。ホームに戻ってきた時のテンションの上がり方が(違う)。苦しい時期が続いてビジターで連敗して帰ってきても、エスコンを見ると野球少年の…小さかった頃を思い出す。「今日から野球楽しみだな」って思いが。何度もそう思わせてくれた球場だった。やっていて楽しいし、勝ったらより楽しいなと思える球場。少しでも勝ちを多くしたいと思っている。

-来季へ向けて

松本剛 個人的にはコンディショニングに納得いかないシーズンでもあった。そこはしっかり見つめ直してもう1度、打撃を鍛え直したい。7、8月ぐらいから自分の中でしっくり来てないところが多くて、大きくいじるか、ある程度粘ってやるかっていうところで、今年は粘ってやろうと僕の中で決めてここまで来た。しっくり来てないところを修正して、もう1段階、上がった打撃を見せられるように。そこに対しての自信はあるし、まだまだうまくなれると思っている。30歳になったけど、若い選手に負けないようにやっていきたい。チームとしては見ての通り苦しいシーズンが何年も続いている。勝つことにこだわると言って、今年は勝てなかった。チームの力不足、選手の力不足が露骨に出ていると思う。個人のレベルアップが絶対的に必要。それは、おのおの感じている部分。僕含めてみんなで前を向いていいチーム、勝てるチームを一緒につくっていけたらと思っています。

-いいチーム、勝てるチームになるための鍵は?

松本剛 鍵…難しいな。どういう風に言っていいのかっていうところですけど。鍵になるところ…でも、やっぱり若い選手が多いので、今年はマンチュウ(万波中正)が素晴らしい活躍をしていますし、そういう選手がまた出て来る可能性は十二分にあると思うので。ってなってくると、僕が今年で言ったらそうですけど、自分が持っている力をしっかり出すことができていればもう少し上の順位にいたのは間違いないと思いますし。鍵になるっていったら、そうですね。個々のレベルアップしかないと思います。でも(他球団に)引けを取っているとは感じませんし。上位チームと。メンバー的に見ても。勝てる要素はたくさんあると思うので、そこは選手が感じないといけないところなんじゃないかなと思います。

-若い選手がブレークする上で、どういったことが必要か

松本剛 1回成績を残せば、もちろんマークも厳しくなるし、難しい時期っていうのは必ず出てくると思う。そこは僕も今、常に思っていますけど、日々成長するというか、やっぱり相手も抑えるために必死になってきますし、その上をいかないといけないですし、技術的にも考え方も、その上をいけるように常に向上心を持ってやり続けていくことが大切なのかなと思います。

-その中でブレークした万波を近くで見ていて、どのような変化を感じた?

松本剛 完全に考え方じゃないですか。打ち方は、もともと持っているものがすごかったし。打席での考え方が見ていて、すごく変わった。数字として自信が付きだしてから、より変わってきた。打席を見ていたら、去年とは雲泥の差。考え方に余裕が生まれているな、と。

-万波の変化を言える範囲で具体的に言うと

松本剛 見ていたら、歴然じゃないですか。待ち方とか。1個の球種を待ち始めたら、それを粘って待つとか。4打席スパンで考えるようになったのかな。1打席スパンで考えると、その打席で結果を求め過ぎてしまって、待っていない球に手を出す。ヒットが出なくなるとそうなる。今の僕でもある。長い目で見ると4打席ある。1週間だったら30打席弱ある。そのプランで考えて3連戦で打席に入っているのかなぁと思う。3連戦で、この投手だったらこうしよう、というプランをマンチュウはすごく考えていると思う。

-今季のパリーグは投高打低だった

松本剛 本当その通りだと思う。ピッチャーのレベルは、めちゃめちゃ上がっていますし、「なんで、こんなみんな球が速いんだろうな」って(笑い)。出てくるピッチャー出てくるピッチャー、みんな球速いじゃんっていうのが、正直な思い。それで変化球を操れるピッチャーが多くなってきたんで。やっぱり、ボール球で勝負できるピッチャーが増えたなと思う。今までは(ストライク)ゾーンで勝負しないと、見切られちゃうからゾーンで勝負するんですけど、今のピッチャーはボール球で勝負できるピッチャーが多い。そこをバッターが見極められないことが多い。僕、含め。今年いいバッター、数字を残しているバッターはボール球を振らない選手が多いと思う。僕の見解ですけど。昔のピッチャーはボール球で勝負できない。ボール球は見られちゃうので。でも、今はボール球を振ってくれるので、ボール球で勝負できるピッチャー増えたのが一番大きいのかなって思います。

-今季の打率2割7分6厘で打率ランキングは5位(10月5日現在)。今の打率3割は昔のプロ野球と比べても高いレベルと言えるかもしれない

松本剛 それ、僕も思いました。それを、ふと思った、この前。それまでは「うわぁ2割7分だ」って思っていたんですけど、客観的に見た時に5位なんだなって。あまり僕(ランキングを)見ないようにしていたんで。つい最近思って。これで5位なんだって。それがさっきの感覚ですね。思ったより打てているという感覚に(なる)。全部で見たら、ですよ。個人的には全然打てていないイメージなんですけど、リーグとして見たら、打てている方になるじゃないですか、ギリギリ。

-打率2割8分が昔の3割ぐらいのイメージ?

松本剛 そう言いたいです、本当は(笑い)。そりゃそう言いたいですけど、でも3割ってなるじゃないですか。「3割打者」とか。「2割8分打者」とは、ならないじゃないですか。やっぱり3割、目指さないといけないですよね。やっぱり3割を打ちたいし、今年も絶対打てるチャンスはあった。それは自分の実力で逃しているだけなので。もちろんピッチャーのレベルは上がっていますけど、絶対3割打てるチャンスはあったシーズンだったと思うので、今振り返っても。そこを自分が勝手に崩したというのはある。なので、来季は打てるようになりたいなと思う。