<潜入>
ヤクルトの公式マスコットつば九郎の愛媛・松山秋季キャンプに「潜入」した。自身のグッズ売り上げアップに奮闘する1日。真面目な働きぶりに感心していたが、最後はやはり? 期待を裏切らなかった。【取材・構成=栗田尚樹】
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坊っちゃんスタジアムの正面入り口から一塁側へ向かうと、第5会議室は見えてくる。年季の入った部屋の前には「つばくろう ひつだんとーくしょー かいじょう」の明るい張り紙があった。
恐る恐る部屋に潜入すると、長テーブルの前に鳥瞰(ちょうかん)するヤクルトのつば九郎がいた。ペンを走らせ、時間の限り、質疑応答に対応。保育士だというファンは、園児につば九郎の弁当箱を認識されない悩みをぶつけ、つば九郎は「ことばはいらない。えんじのべんとうをど~ん」。別のファンが「毎日、旦那の弁当をつくるのが疲れる」という切実な悩みを明かすと「わかれる」と相変わらずのブラックさで“絶好鳥”だった。
取りこぼしが出来ない燕征。昨年は3冠王に輝いた村上に負け、グッズ売り上げ2位だった。「けいやくこうかい に えいきょうだい」と今年は1位をキープ。さらなる出稼ぎのため4、5日に2日間限定で松山秋季キャンプに参加。ブラックのかけらなど皆無の愛想を振る舞っていた。先述の「とーくしょー」は、1万円(税込み)の「ご当地つば九郎セット」購入が条件。各回先着30人だったが、あまりの盛況ぶりに引き上げられた50人の枠も全て埋まった。1会計で5000円(税込み)以上で参加出来る写真撮影会も満席。つば九郎イベントに関するグッズは完売した。
球団関係者によれば「これで1位は確実」だという。すると、足早に球場を飛び立つ、つば九郎。「けいやく こうかい たのしみに してて」と意味深なコメントを残した。越年覚悟で大トリか、と頭を巡らせていると、つば九郎はなぜか、道後温泉の歓楽街の方へ。両手には売上金…。懇切丁寧な働きぶりは、このためだったのか-。立つ鳥跡を濁さず、第5会議室とは正反対のきらびやかなネオンへ吸い込まれていった。