【ソフトバンク】小久保監督「元バルセロナ監督のグアルディオラになりたいなと思う」新春に聞く

今季の目標を色紙に「リーグ優勝、日本一」と力強く記したソフトバンク小久保監督(撮影・岩下翔太)

ソフトバンク小久保裕紀新監督(52)が、新春インタビューで今季に懸ける決意を激白した。現役時代に背負った背番号9の継承者、柳田悠岐外野手(35)に対する期待や若手の育成方針を披露。「我々は常勝チームではない」というチャレンジャー精神で、リーグ3連覇中のオリックスに挑む覚悟を明かした。“王イズム”を受け継ぐミスターホークスが、4年ぶりのリーグ優勝奪回を導く。【取材=只松憲】

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-開幕カードはオリックスに決まっている

「(山本)由伸が抜けるといっても、山下がいる。宮城もいるし、2軍でずっと投げていた東もいる。投手がいいですよ」

-開幕投手に求めるもの

「相手もエース格がくる。中6日で回るのであれば、変則日程にならなければ、ずっと同じ力量の投手と当たることになるので、そりゃしんどいポジションと思います。チームを代表してふさわしい人がなるべき」

-すでに有原と和田は開幕ローテ入りを明言した

「それ以外の選手は違う競争がありますけど、2人に関してはこのオフ、どっちが(開幕投手に)なってもおかしくないと思って過ごしますよね。明言しているので。でもまだ決めていないです」

-1軍監督の準備は

「野球のことはあまりしてないかも。監督の仕事って何だろうとずっと問い詰めている。マネジメントをどうするのか。今の時代に合わせて選手要望を聞きながらマネジメントしていくのがいいか、2軍の時のようにある程度こっちが管理しながらやる方がいいのか。ある程度の方向は決めているけど、まだ答えは出していない。そっちの方が大事かなと思います。今は対戦率とかどうでもいいというか、気にしない。直前になったらそういうことは頭に入れますけど、それよりもレギュラーとしていかにあるべきかとか、どういう振る舞いをしておかないといけないか。そっちが大事じゃないですか」

-リーダー論はここ数年で変わってきた

「この2、3年でだいぶ変わった。古き良きものと、古くさいものは選別しないといけない。王イズム継承とも言われているので。とういうことはある程度、管理というかルールを決める。王会長が我々に求めてきたものはやっぱり必要だと思う」

-その上でどんなチーム作りがしたい

「主力が手本になるチームを作る。勝つのは当たり前。勝利に向けて個人が美しさを自分の中に持ち合わせたチームになればいい。これは俺も含めて。俺も全然完璧じゃない。それは絶対に大事なこと」

-今のチームをどう見ている

「今は組織が大きくなりすぎている。どうせ勝つなら、みんな同じ方向を向くこと。組織が大きくなって、いろんな部署があるよね。でも自分たちの部署さえ数字が上がっていればいいとか、そういうのは全く必要ない。例えば、けが人を少なくしたから我々はよかったとか、筋力が上がったからよかったとか。でも結果どうなん、勝ってますか? と。みんな同じ方向を向かないかん。全員。自分たちの部署さえよければええっていう集まりで勝っても面白い? だからみんな同じ方向を向きたい」

(続けて)

「ホークスが強い組織であり、いい選手を育てるためにどうしたらいいかの議論からスタート。全員が作品に携われるアーティストになる。俺が言う『美』っていうのはそういうイメージでもある。見た目も含め、全員がホークスというチームの作品を作り上げることに携わっていく。組織が大きくなればなるほど、そこを抜きに勝っても結局空洞じゃ面白くない」

-チームを束ねるために美しさの重要性を挙げた

「全員がアーティストとして携わる。俺が束ねる1軍は、2~4軍の手本にもならないといけない。例えば柳田が大量ビハインドなのに全力でランニングをした。柳田が一塁セーフになった後に逆転した試合があったら、逆転打を打った人にスポットライトを当てるんじゃなくて、その前に走った選手にスポットライトを当てる。『今日の分岐点ってこれだよね』と。今は全員タブレットがあるので、次の日には担当コーチが柳田の走塁があったから勝ちにつながったということが共有できる。下は上を見て、ちゃんとまねをする。学べる。そういうチーム作りをするのが俺の仕事。そうじゃなかったらトップの意味がない。だから上に立てば立つほど見られているということ。駅でも空港でも、そういうのも含めて『美』。数値とか対戦率がどうのこうのとか、それは俺からしたら全然違う別の分野。一番の仕事は首脳陣としっかり連携を取りながら、縦でつながらないといけない。悪いものがあったらいち早く修正。それが我々の仕事」

-1つの作品を全員で作り上げる

「そこに対しての議論をしたらいい。それは選手のためになりますか? っていう議論。自分ファーストはやめたほうがいい。例えば自分がその日は休みで、現場に出てくるのが嫌だからですよねって思えることがいっぱいあった。そうじゃなくて選手のために何が一番かの議論をする。それは全部につながる。選手のためになるか? 休ませることが選手のためになるか? この状況で(試合に)出すことが選手のためになるか? そういう議論は大いにしたらいい」

-手本になるような組織はあるか

「時代もあるし、ちょっとやりすぎというのもあるけど、元バルセロナ監督のグアルディオラになりたいなと思うけどね。あの人、最初にゴールした時にベンチで一緒に喜ばなかった選手は全員、次の年にクビにしている。それはさすがにできないけど、でも勝つということはそういうもの。フェラーリに乗ってくるの禁止とか。それはちょっと…。バルサでは勝ったけどね。でも、そういう要素も必要だとは思っています」

-各部署に伝えている

「この話は初めてした。そういうのは俺はメディアさんを使うんよ。書いてくれたらみんな選手もメディアを見て『美なので』って言ってくれる。そういうのって入っていくので」

◆小久保裕紀(こくぼ・ひろき)1971年(昭46)10月8日、和歌山県生まれ。星林を経て青学大で92年バルセロナ五輪銅。93年ドラフト2位でダイエー(現ソフトバンク)入団。04年に、異例の無償トレードで巨人移籍。07年FAでソフトバンクに復帰した。12年現役引退。現役時は182センチ、87キロ。右投げ右打ち。13年10月から17年WBCまで侍ジャパン監督。21年ソフトバンク復帰しヘッドコーチ。22年から2軍監督を務め、今季から1軍監督に昇格した。

※…22年は優勝マジック「1」としながらリーグ最終戦で敗れ、オリックスに逆転優勝を許した。23年の交流戦では優勝したDeNAと11勝7敗で並んだが、得失点率差で及ばず。シーズンでは最終2試合で1勝すれば2位確定も1分1敗。最終戦で勝ったロッテに勝率1毛差で及ばず3位で終わった。CSファーストステージ第3戦でも延長10回に3点を勝ち越しながら直後に4失点。逆転サヨナラ負けで敗退が決まった。