【阪神】岡田監督、井上広大は今年は飛距離がある&前川右京はボール上がる、ライバル今年は巨人

日刊スポーツ評論家の緒方氏(手前)と対談する阪神岡田監督(撮影・上山淳一)

球団史上初の連覇へ挑む阪神岡田彰布監督(66)を、広島指揮官として3連覇を達成した緒方孝市氏(55=日刊スポーツ評論家)が“直撃”する異色対談の実現だ。

勝ち続ける難しさを知る男に球界最年長指揮官が明かした考えとは-。虎党はもちろん、野球ファン必読だ。【高原寿夫】

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-今年の阪神は連覇がテーマ。緒方氏は監督として3連覇した

岡田監督(以下、岡田) “経験者は語る”でエエやん(笑い)。

緒方氏(以下、緒方) いやいや(笑い)。それにしても昨年は本当に強かった。でも連覇には新戦力が必要と思うんですが、それほど大きな補強ってないですよね?

岡田 野手はない。投手のゲラくらいやな。若いのが出てくるかやけど、まあこれからやな。去年と同じメンバーじゃ、勝てん。そら勝てんよ。

緒方 その中で選手起用など昨年同様の戦い方を意識していくのか、ちょっと変えていってみようとか。

岡田 今年は外野はわからんよ。森下、ノイジーはわからへん。森下は数字的には物足りん。インパクトはあったけど。

緒方 いいところで打ってるということですか。カープもサヨナラ打を打たれたりとか、いいところで本塁打を打たれたり。

岡田 印象が強いから活躍したように見えてるけど数字は全然。2割3分、ホームラン10本や。

緒方 でもクリーンアップにすえていましたよ。

岡田 右打者がほしかったんよな、打順の兼ね合いで。育てなあかんという意味も含めて。それがエエところで打った。

緒方 右打者という面では野口ら若い選手も出てきていますね。

岡田 そうやな。今年は井上もエエよ。去年より全然エエよ、今年は。飛距離がある。

緒方 井上選手は力で振るっていうよりタイミングの取り方とか、そういう変化は見られますよね。

岡田 見える、見える。今年ようなってる、ボールが上がるようになってるのは前川や。つぶしにいく打ち方でラインドライブが多かったけどね、今年はボール上がるよ。

-阪神の4番は今年も大山。緒方氏も3連覇の中で鈴木誠也を4番として成長させた

緒方 去年、岡田監督が大山選手にされたのと一緒。僕は(誠也に)責任感を与えて、黙々とやってもらわな困るっていう目線で見てたし、そういう場に置いた。大山選手も真面目やろうし、誠也もちゃらけて見えて真面目なので。

岡田 うん。大山なんか今年のフリーバッティングで引っ張らへんもんな。右にばっかり打ってる。周りでガンガンホームラン飛ばされても自分のスタイルでやっとるよな。こっちが言うたことじゃない。もうちょっと数字上げたいというのはそらあると思う。そこを目指していけばええと思うで。みんなが認めとるんやから、4番は大山やっていうことを。

緒方 佐藤選手、森下選手も楽しみでは?

岡田 そんなに期待してない(笑い)。2人が打ったら、めっちゃ勝つやん(笑い)。俺は打てへんと思ってるから(笑い)。はっきり言うて。

緒方 そんなこと言って大丈夫ですか(笑い)。

岡田 全然、大丈夫。打ったらいいだけであって、打ったらもうけもんやから。森下、佐藤が打ったら、もう…大変やんか! それやったら、もうオレは何もせえへんよ。はっきり言うて。

緒方 自分は監督になって、まずブルペン整備を重視しました。阪神のJFKなどを対戦相手として経験しているので。今年はどうなりそうですか?

岡田 湯浅は去年、戦力と思ってなかった。今年の一番の新戦力は湯浅やで。それとゲラがエエ。まあ、一番後ろ、誰でもええねんけど(笑い)。経験が大事な部分やから。喜怒哀楽を出すのはあかんな。ホームラン打たれて悔しがるとかな。知らんふりしとけ! って。岩崎は知らんふりできるわ。

緒方 なるほど。打者に関して言えば岡田監督は個々のレベルを上げていけと言っておられます。昨季はあれだけつながりがあり、得点も多い打線の中で3割打った打者がいなかった。

岡田 いてない。だから今年は自分の成績を上げるようにやれと。もう1つ、レベルアップね。1、2番は当然3割打てる力あるし、目指しとると思うよ。

緒方 ベンチの意図を理解した上で、自分の成績として上を目指していくというプラスの考え方ですね。

岡田 1、2番(近本、中野)が3割打って2人で30個盗塁せえ、言うて。そしたらオレなんもせんでエエ(笑い)。そういうことやん。

-連覇のライバルは

緒方 最近は連覇の傾向が多いですよね(※)。いずれにしてもカープも含めてセ・リーグ5球団は「打倒阪神」。これが今季の合言葉でしょう。

岡田 そうか。オレは巨人だと思うよ、今年は。

緒方 巨人ですか。

岡田 今年は巨人よ。2年連続Bクラスというのはね。フロントも全部、相当、意識は強なってると思うよ。

-緒方氏も言っていたが勝ち続けるのは難しい

岡田 広島が3連覇のときは、ちょっとずっとAクラスとか行ってな、兆しはあったよ。

緒方 今の阪神にはそれがあると。

岡田 あるある。やっぱり去年勝ったのが大きいよ。去年の勝ちは本当に大きいと思うよ。選手の自信というかね、そういうのは全然違うもん。姿が違うよ。

緒方 周囲に「勝って当然」みたいな雰囲気が出るとか、そのへんのプレッシャーは。

岡田 どうやろ。そんな去年ほどうまいこといけへんと思うよ、今年ね。でも最終的に143試合終わって、トップにいてたらいい。もう(1月)31日のミーティングでも言うたよ。

緒方 やはり阪神は優勝候補筆頭。OB含め、ほとんどそうだと思います。死角なしっていう感じで。

岡田 いや、安仁屋(宗八)さんは分からん(笑い)。安仁屋さんは間違いなく広島や。

緒方 今年はどこが阪神を追っていくか。対戦成績で五分近く持っていけるかどうかがポイントになる。

岡田 あんまり1つを追いかけてたら、自分ら同士の戦いで墓穴掘るよ。エース級をぶつける言うても次の3連戦はどうなるんやってなあ-。

◆セ・リーグの連覇続き 16~18年の緒方広島、19、20年の原巨人、21、22年の高津ヤクルトと、昨年に岡田阪神が優勝するまで7年連続で連覇が続いていた。それ以前も15年に真中ヤクルトが優勝するまで、07~09年の原巨人、10、11年の落合中日、12~14年の原巨人と、8年にわたって連覇が続いた。パ・リーグでは中嶋オリックスが3連覇中。