【西武】支配下目指す快足モンテルが打撃開眼気配 きっかけは髪と役職名の長いあの人のひと言

西川の適時打で二塁から本塁を陥れる西武モンテル(撮影・金子真仁)

<球春みやざきベースボールゲームズ:西武4-4斗山>◇27日◇サンマリン宮崎

エース高橋、今井らのロン毛が何かと話題になる西武で、新たなる“長髪伝説”が生まれそうな気配が27日、高まった。

西武育成2年目のモンテル外野手(23)が27日、練習試合の韓国・斗山戦に9番左翼でフル出場した。これが“1軍”初実戦だったもののいきなりの適時二塁打に好守、豪快な走塁と持ち味を発揮し、松井監督を「非常に良かった」とうならせた。

6回1死一塁、左中間の飛球をダイビングキャッチし、そのまま一塁へ送球。併殺を完成させた。「ミスするなら思い切りミスでもいいので、挑戦したいことをどんどん思い切って」と臆せず飛び込んだハートに首脳陣もしびれ、平石洋介ヘッドコーチ(43)からも「いいアピールができている」とほめられた。

高い身体能力を生かした守備と走塁は、入団当初からかねて評価されていた。あとは打撃…というところで今年1月、自主トレ中に打球が強くなった。芯で捉えた打球が左中間方向へぶっ飛んでいく。

「武隈さんが打撃投手をしてくださって、アドバイスしてくださって」

エース高橋並みに長髪な、武隈祥太球団本部ハイパフォーマンスグループ付バイオメカニクス担当兼ファームコンディショニングチェック担当(34)から声をかけられた。

「ちょっと近すぎ。ベースから2足分離れろ」

外角球への意識が強く、ホームベースぎりぎりのラインに立っていた。それまでも「確かに詰まることもありました」というが、この金言で一気にインパクトが強くなったという。現在もさらに試行錯誤しながら、実戦でのベストの位置を探している。

選手を支えるのはコーチだけではない。映像やデータを駆使して選手をサポートするバイオメカニクス職ならではのアドバイスで、球団として目指す「育成の西武」を象徴するような出来事でもある。

でも実はこれ、西武にとってはもう1段階深い意味がある。将来のクローザー候補に期待される豆田泰志投手(21)にも昨年、武隈氏は声をかけている。

ある日、ブルペンで遊び半分でドジャース山本由伸(当時はオリックス)風のフォームを試していたところ、武隈氏から「それでやってみ?」と勧められ、そこから才能が開花。3軍落ちから一気に支配下登録までの上り詰めている。モンテルも続けば、一気に良きジンクスになる。

2月末現在、支配下登録が63人だ。まだ7枠が空いており、今季中に育成選手から5人前後の“昇格”が見込まれている。髪と役職名の長い元左腕の短い助言で、またしても悩める若手が輝くか。モンテルは「ひるまずアピールできたらと思います」と短髪ににじむ汗をふいた。【金子真仁】

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